相続税・贈与税」カテゴリーアーカイブ

関根稔先生の相続セミナーに参加してきました。

(概要)
不動産の価値が下がり続ける時代には、借金をして収益性の低い賃貸物件を建てるよりも、余裕資金でご子息の自宅を建てた方が、意味ある相続税対策になる。

(詳細)
先日、弁護士の関根稔先生の相続セミナー(東海税理士会主催「相続事案の注意点」2018年11月20日)に静岡まで行ってきました。

相続のアドバイスにおいて、為になるお話、盛沢山でした。

中でも印象的だったのは、昨今、不動産の価値は下がり、事業は縮小傾向、そして90歳までの人生を考えたとき、やるべきは不動産投資などの相続税対策ではなく、資産のお片付けと豊かな老後を過ごすための準備だというお話。

というのも、少しの相続税のために莫大な借入金を可愛い子息に残してしまう例が多くなっているとのこと。すなわち、相続税の節税のために多額の借入金で賃貸不動産に投資して、借入金を返済できるほどの賃貸収益を得られることができず、値下がりを続けるその不動産をやむなく売却し、借入金だけが残ってしまうという最悪のケースが、たくさん出てきていると。

その代わりに提唱されていたのが、資産と借金を整理し、手許に残った余裕資金で、子息の自宅を建ててあげること。建物は建設した時点で、半分くらいの評価額になるし、90歳まで生きるとしたら、その時の建物の評価額は、減価償却して相当低くなるから、これだけで有効な相続税対策になるというわけです。さらに言えば、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を使って子息の名義にしなくても、自分名義で建てれば、それだけで相続税対策になる。不動産の価値が上がり続ける時代であれば、非課税制度を使って子息の名義にすることが有効だけれども、不動産の価値が下がり続ける時代には、自分名義で建ててあげればそれでよい。不動産の価値が下がり続ける時代には、有効で意味ある相続税対策方法ですね。

私の最近の相談でも、生前贈与等の対策を施せば、借入による不動産投資と同等以上の相続税対策が実現できることがわかった事例もありました。何を重視するかは、最後は、資産家の方々のご判断次第ですが、お気持ちに沿った対策をご選択できるように、相続税対策のシミュレーションのご依頼に際しては、必要に応じて代替案のご提案も行って参りたいと思います。


追記 セミナー後、「獣になれない私たち」(日本テレビ系列のドラマ)の5tap的なおしゃれなビアバーで飲んで、帰ってきました。

山林及び立木の相続税評価の実際

(概要)
・相続税の財産評価の解説書は多く出ているが、山林及び立木については、評価基礎資料の地域性も高いため、具体的な評価方法を記載している解説は少ない。
・山林及び立木の評価のポイントは、森林簿、保安林台帳、分収造林契約書といった評価基礎資料を適切に入手することにある。

(詳細)
弊事務所は、浜松市の北部に位置することから、山林及び立木を相続財産に含む相続税申告のご依頼をいただくことがあります。
相続税の財産評価の解説書は多く出ているところですが、山林及び立木については、基礎資料の地域性も高いためか、具体的な評価方法を記載している解説は少ないと考えられます。そこで、弊事務所での評価作業例を紹介していきたいと思います。

1.必要書類の入手

① 森林簿の入手
静岡県内の山林及び立木の評価においては、まず、県農林事務所作成の森林簿を入手する。
入手先:静岡県〇〇農林事務所

※ 市町村でも森林簿を保管している例はあるが、静岡県においては、森林簿の作成は県が行っているので、県の農林事務所で入手した方が二度手間にならないと考えられる。
※ 静岡県森林情報共有システムでも、森林簿の閲覧ができるが、相続税の評価に必要な情報がすべて記載されているわけではない。逆に、農林事務所窓口で交付される森林簿にも、評価に必要な情報が記載されていないこともある。たとえば、後述の立木の評価における「地味級」は、静岡県森林情報共有システムの森林簿における「林地の生産力」(「地位」とも言われる)を利用するか、農林事務所に口頭で確認する必要があることがある。

② 保安林台帳の入手
①にて森林簿を入手した結果、当該立木の中に、保安林が存在する場合には、伐採関係区分の把握のため、県農林事務所作成の保安林台帳を入手する。
入手先:静岡県〇〇農林事務所

③ 分収造林契約書の入手
①にて森林簿を入手した結果、当該立木の中に、第三者の立木が存在する場合には、分収造林(例えば、国の水源林造成事業においては、水源林の維持のため、国の費用の負担のうえで造林を行い、林地所有者、造林作業者(森林組合)、費用負担者(国)で立木収益の分配を行う。)の可能性が高いことから、持分割合把握のため、分収造林契約書を入手する。当該契約書は、造林地所有者である被相続人が保管しているはずだが、もし見当たらない場合には、立木所有者に協力を求める。

山林が水源地に所在する場合には、当該分収造林が、国の水源林造成事業によるものであることがある。この場合、現在の所有者は、国立研究開発法人森林研究・整備機構(注)となるので、次の先に協力を求める。

国立研究開発法人森林研究・整備機構
森林整備センター 〇〇水源林整備事務所

注:国の水源林造成事業は、森林開発公団、緑資源公団、独立行政法人緑資源機構、独立行政法人 森林総合研究所、国立研究開発法人 森林総合研究所、そして、現在の国立研究開発法人 森林研究・整備機構への引き継がれているため、森林簿や登記簿には、旧名称が記載されていることに留意する。

2.森林の立木の評価
① 標準価額の把握
森林簿をもとに、樹種(杉orヒノキorその他)、林齢を確認し、1ha当たりの標準価額を国税庁が公表している「森林の立木の標準価額表」より拾う。標準価額表(静岡県)には、杉、ヒノキしか記載がないが、その他の樹種(例えば、黒松、その他の広葉樹)は、当地では市場性がないものと判断し、ゼロと評価した。

②地味級
スギ、ヒノキ、松については、一本あたりの立木体積データが必要となるが、当地の森林簿から計算することができないので、弊事務所では、森林簿における地位(「林地の生産力」ともいう)をもとに、暫定的に判定している。
(地位) (地味級)
I、Ⅱ  → 上
Ⅲ    → 中
Ⅳ、Ⅴ  → 下

③ 立木度
森林簿の林種より判定。弊事務所では、人工林は密として評価。

④ 地利級
森林簿の「林道からの距離」を地利級判定表の小出し距離に当てはめ、小運搬距離は分からなかったので一番評価の高いところとし、等級を判定。

⑤ ②~④の結果を総合等級表に当てはめ、総合指数を判定。
地味級、立木度、地利級の指数を乗じたものが総合指数となるが、各指数を調べて乗じるよりも、総合指数表での判定が効率的である。
なお、財産評価のためのソフトウエア(弊事務所では、(株)NTTデータ製「財産評価の達人」を利用)では、地味級、立木度、地利級を入力すると自動判定してくれる。

⑥ 保安林については、保安林台帳の保安林の種類と指定施業要件より、控除割合の判定。
保安林台帳には、保安林の種類として「水源かん養保安林」や「土砂流出防備保安林」等の記載があり、指定施業要件として「皆伐」、「択伐」、「禁伐」、「間伐」の記載がある。これらの記載を、県別及び基準年度別の財産評価基準書(http://www.rosenka.nta.go.jp/)の「伐採制限等を受けている山林の評価」別紙「森林法その他の法令の範囲等」に当てはめ、控除割合(一部皆伐(0.3)、択伐(0.5)、単木選抜(0.7)、禁伐(0.8))を判定する。

例えば、「水源かん養保安林」で「皆伐」及び「間伐」の指定がなされている場合には、当該別紙「森林法その他の法令の範囲等」における区分「水源かん養保安林」の伐採の方法等「伐採種を定めない」ものに分類できることから、一部皆伐(0.3)の控除割合と判定できる。

⑦ 分収造林について持分割合の把握
第三者が所有者の立木について分収造林契約がある場合には、林地所有者の分収割合を、共有持分割合として判定する。
例えば、分収造林契約書より、所有者の分収割合が40%であることが判明する場合には、共有持分割合を40/100とする。

⑧ 面積の把握
評価額の重要な要素である⑤総合指数について森林簿の情報をもとに算定すること、また、森林簿は実測値に近い数字として信頼できることから、弊事務所では、森林簿における面積を採用している。

⑨ 評価額の算出
以上の情報をもとに、以下の算式で相続税評価額とする。
①×⑤×(1-⑥)×⑦×⑧×85%(立木の特例、相続税法26条の2)

3.山林(林地)の評価
① 面積の把握
登記簿の面積ではなく、森林簿の面積に引き直して評価する。
登記簿の面積と森林簿の面積は、大きく違うことが多い。さらに、保安林の面積も、登記簿とも森林簿とも違っているものもあった。
各面積は、静岡県の場合、下記のように決定されている模様である。
・登記簿・・・近年の地籍調査による実測値が反映されているものもあるが、森林には、長年実測が行われず、いわゆる縄延びの問題を抱えたものが多く含まれている。
・森林簿・・・航空写真から推定して計算されている。
・保安林台帳・・・登記簿の面積を利用、あるいは、実測して作成されている。
実測されていると判断できる保安林については、保安林台帳の面積が最も正しいと推測されるが、保安林台帳の面積を採用すると森林簿をもとに評価することが最も適当と考えられる立木の評価と整合が取れなくなる。そこで、弊事務所では、整合性を考慮して、森林簿の面積を採用することとしている。

具体的には、固定資産税評価額を登記簿面積で除して、森林簿の面積を乗じることで、森林簿の面積による固定資産税評価額を算出している。

② 倍率表の倍率の把握

③ 保安林の控除割合の把握
保安林については、立木の評価と同じ控除割合を利用する。
倍率に乗じて計算する場合には、(1-控除割合)を利用する。

④ 権利割合の把握
分収造林契約に基づき地上権が設定されている森林については、分収割合及び契約残存期間を元に、権利割合を計算する。
例えば、契約残存期間37年の場合で地上権割合が0.6と評価され、また、分収割合が0.4の場合
[底地部分の権利割合(1-0.6(地上権割合))]+[地上権部分のうち自らの権利割合(0.6(地上権割合)×0.4(分収割合))]=0.64

⑤ 評価額の算出
①の固定資産税評価額に②~④の倍率を乗じて、評価額を算出。

以 上

二世帯住宅であっても住宅取得等資金の非課税の適用を受けることができる模様

<概要>
二世帯住宅の子世帯が住む部分の床面積が二世帯住宅全体の床面積の1/2未満であっても、住宅取得等資金の非課税の適用を受ける実務が認められている模様

<詳細>
祖父Aが、父Bと子Cそれぞれに1000万円ずつの住宅取得等資金の贈与を行い、父Bと子Cが共有の二世帯住宅を建てた場合、父Bと子Cは、住宅取得等資金の非課税の適用を受けることができるのか。この場合、租税特別措置法40条の4の2第3項の「特定受贈者がその居住の用に供する家屋(その家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が専ら当該居住の用に供されるものに限る)」の要件は満たすのかという問題が生じる。なぜならば、父世帯の床面積が120㎡、子世帯の床面積が100㎡の場合、子世帯の床面積100㎡は、二世帯住宅全体の床面積220㎡の1/2未満となり、上記の規定を満たさないと考える向きもあるためである。
この点、ある税務署では、二世帯住宅の場合、父世帯、子世帯合わせて、居住用部分と考えてよく、問題ないとの回答を示している。前述の規定は、事業用部分を適用対象外とする規定であるとの説明である。
この場合、父B、子Cそれぞれにおいて、住宅取得等資金の非課税の適用を受けることが可能との判断となる。
所轄税務署と相談のうえ、対応いただきたい。

相続税の申告が必要かどうか。

まずは相続税がかかるかどうかの確認を
亡くなった方の残した財産が、相続税の非課税枠を超えていたら、10ヶ月以内に相続税の申告書を作成し、税務署に提出しなければなりません。合わせて相続税の納付も必要となります。

(相続税の基本的な手順のポイント)
(1) 相続財産の評価
亡くなった方の残した財産について調べ、その財産が相続税の決まりに基づくといくらなのかを、財産ごとに計算しましょう。
(2) 相続税の計算
(1)の評価額の合計額が、相続税の非課税枠(基礎控除額)を超える場合には、相続税の申告と納税が必要です。税務署が、相続税がかかるかどうかを判断し、書類を送ってくれるわけではありません。まずは、自分自身で、相続税がかかるかどうか確認してみましょう。
(3) 申告書の作成・納税
相続税の申告書は、財産を相続した人全員が共同で提出するのが一般的です。税理士に依頼せずに自分で作成しても構いませんが、計算間違いや申告漏れがあると、税務調査を受け、加算税などのペナルティーを課されることになります。また、相続税には、課税価格の減額や税額控除など、税金が安くなる特例がいくつかあります。これらの特例を受けるには、色々な要件がありますので、注意が必要です。

税務署からの「相続についてのお尋ね」の意味とは?
人が死亡した場合、その情報は税務署にも入ります。税務署は、相続税の申告が必要であろうと判断した方に対して、「相続についてのお尋ね」が送られてきます。相続税の申告が必要なのか、不要なのかは、計算してみなければわかりません。それは税務署も同じですので、お尋ねをしてきます。もし、相続税の申告が不要であれば、このお尋ねに必要事項を記入して税務署に提出すれば終了です。

相続税の基礎控除額(非課税枠)とは?
相続税には、財産がこの金額以下なら相続税はかからないという非課税枠(基礎控除額)があります。財産が基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告や納税が必要となりますが、これに満たなければ、相続税に関する手続きは一切必要ありません。
基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。

生前贈与が相続税に影響することがある
相続税は亡くなる時に、贈与税は生きている間に、無償で財産を受け取るとかかる税金です。相続税法の中に「相続税」と「贈与税」が定められています。贈与税は、あくまで相続税を補うための税金なのです。
そのため、亡くなる時期に比較的近い3年以内の生前贈与については、相続税で計算し直すことになっています。年間110万円以内の贈与は贈与税がかかりませんので、相続税対策として行われますが、贈与を行った日から3年以内に相続が発生した場合には、贈与した財産にも相続税がかかってきますので、結果として相続税対策にはならなかったことになります。相続税対策は、早い時期から取り掛かる必要があります。
なお、3年以内の生前贈与は、相続税で計算し直すと書きましたが、これは相続人が受けた贈与に限ります。従いまして、相続人でないお孫さん等への贈与は、相続開始前3年以内の贈与であっても相続税には影響を与えません。