既存のメールシステムを維持したまま、Gemini Advancedの高度なAI機能を安全に業務へ取り入れる方法

(要約)
Gemini Advancedの業務利用を目的に、既存のメールシステムを維持したままGoogle Workspaceを導入する場合、以下の手順が有効です。

  • 手順1: Google WorkspaceへのログインIDには、既存のメールサーバーで受信可能なメールアドレスを使用する。
  • 手順2: DNSサーバーで、Google Workspaceのドメイン所有権確認用TXTレコードのみを設定し、メール配送用のMXレコードは変更しない。
  • 手順3: Google Workspaceの管理機能で、Gmailサービスを無効化する。

(詳細)
【Geminiの業務利用とGoogle Workspaceの必要性】個人向けGeminiでは、入力した情報がAIの学習に利用される可能性がありますが、法人向けのGoogle Workspace版Geminiでは、データが学習に使われないことが規約で保証されています。このため、機密情報などを扱う業務でGeminiを安全に利用するには、Google Workspaceの契約が必要です。

【既存メールシステムとの共存という課題】 Google Workspaceの導入には独自ドメインが必要であり、Gemini Advancedが利用できるプランには、そのドメインを利用したメールサービス(Gmail)が含まれます(※)。そのため、すでに自社ドメインでメールシステムを運用している場合、そのシステムを維持したまま、いかにしてGoogle Workspaceの恩恵を受けるか、という課題が生じます。
※ メール機能を含まないGoogle Workspace Essentialsプランでは、Gemini Advancedは利用できません。(2025年6月現在)

【具体的な解決手順】 この課題は、以下の手順を踏むことで解決できます。

  • 手順1:ユーザーアカウント(ログインID)の準備 Google WorkspaceにログインするためのユーザーIDとして、自社のメールサーバーで受信できるメールアドレスを割り当てます。これは、Googleからのサービス通知やパスワードリセット等の重要な連絡を受け取るためです。既存のメールアドレスをそのまま利用するか、新規アドレスを作成して普段使うアドレスへ転送する設定を行います。

  • 手順2: DNS設定(MXレコードの維持) ドメインの所有権をGoogleに証明するため、DNSサーバーに指定されたTXTレコードを追加します。この際、メールの配送ルートを定義するMXレコードは一切変更しません。これにより、メールの送受信は引き続き既存のメールサーバーで行われます。

  • 手順3:Gmailサービスの無効化 Google Workspaceの管理コンソールで、Gmailのサービスステータスを「オフ」に設定します。これにより、ユーザーはGoogle Workspace上でメール機能を利用しなくなりますが、アカウント自体は有効なため、Gemini Advancedなどの他のサービスは問題なく利用し続けることができます。