相続の手続きが終わっても、被相続人が不動産を購入した時の売買契約書等は残しておきましょう。

(概要)
相続の手続きが終わっても、将来、不動産を売却する際の譲渡所得の計算で不利になることがないように、被相続人が不動産を購入した時の売買契約書等は残しておきましょう。

(詳細)
・被相続人が生前購入された不動産を、相続人が将来売却するとき、その譲渡所得の計算で売却代金から控除する「取得費」は、相続時の相続税評価額を基礎とするのではなく、被相続人が不動産を購入された時の実際の価額を基礎として計算します。
・不動産を購入された時の実際の価額がわからない場合、「取得費」は、売却代金×5%で計算せざるをえないことも多く(※)、この場合、通常、実際の価額を基礎として計算された金額よりも少なくなります。その場合、譲渡所得にかかる税金が本来より多くなります。
・そのため、相続手続きが終わっても、被相続人が不動産を購入した時の売買契約書等は破棄せず、保存しておきましょう。
・土地や建物の売買契約書のほか、土地購入時の建物解体費用や造成費用、外構工事費用、建物新築時の工事請負代金などがわかる書類、事業用に用いていた場合には事業最終年度の税務申告書なども、同様の理由から残しておきましょう。

※ … 建築年月日と床面積から、標準的な建築価額表を用いて建物の取得価額を計算する方法など、取得費を推定して算定する方法がありますが、本稿では割愛します。