<概要>
大工(個人事業主)が、自分で自宅を新築した場合であっても、住宅ローン控除の適用を受けることができる(平成30年3月6日現在)。
<詳細>
いわゆる住宅ローン控除を定めた租税特別措置法第四十一条においては、生計一の親族からの取得を適用除外と定めているが、租税特別措置法第二十六条第三項によれば、適用除外となる取得とは既存住宅(中古住宅)と土地に限られており、家屋の新築、建築後使用されたことのない家屋については、適用除外となっていない。
したがって、個人事業主である大工が自分で自宅を新築した場合等については、ローン控除の適用が受けることができると解される。
この点、国税庁HPにある住宅ローン控除のチェック表においても、中古住宅の要件の中に、「その家屋の取得時において自己と生計を一にし、その取得後においても引き続き自己と生計を一 にしている親族等から取得したものでない」との項目が定められている一方、新築については、何も記載されていない。
生計一の親族からの取得を適用除外と定めた趣旨を、親がローン控除(最長10年間)受けた後に、生計一の息子が住宅を親から買い取って再度、ローン控除を受けることを防ぐためと考えると、適用除外の範囲を既存住宅(中古住宅)と土地に限定した法の趣旨が理解できよう。
参照条文)平成30年3月6日現在
租税特別措置法
(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)
第四十一条
第一項
(前略)住宅の用に供する家屋で政令で定めるもの新築若しくは居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは建築後使用されたことのある家屋で政令で定めるもの(以下「既存住宅」という。)の取得(配偶者その他その者と特別の関係がある者からの取得で政令で定めるもの及び贈与によるものを除く。)をして、(中略)その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除する。
租税特別措置法施行令
第二十六条
第三項
法第四十一条に規定する政令で定める取得は、同項に規定する既存住宅・・・住宅の取得等とともにする当該件宅の取得等に係る家屋の敷地の用に供される土地等の取得で次に掲げる者(その取得の時において居住者と生計を一にしており、その取得後も引き続き当該居住者と生計を一にする者に限る。)からの取得とする。
一 当該居住者の親族
二 当該居住者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
三 前二号に掲げる者以外の者で当該居住者から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持しているもの
四 前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族