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新たな相続税低減ツールとなった、相続時精算課税

(概要)
生前贈与による相続対策として、複数年にわたる暦年贈与が従来考えられてきましたが、令和6年1月1日以降、相続時精算課税制度の活用も考えられるようになりました。

(詳細)
これまで相続時精算課税は、相続時に全額を持ち戻す必要があるため、相続税の低減効果が基本的にありませんでした。加えて、相続時精算課税を選択すると、暦年贈与の110万円の基礎控除が適用できなくなっていました。この結果、相続時精算課税は、相続税が掛からないと見込まれる方からの生前贈与など、限定的な場面での相続対策にしか活用されてきませんでした。

反対に、暦年贈与は、複数年にわたり実施するなどして、相続税率より低い贈与税率を実現し、相続税低減ツールとして活用されてきました。

こうした中、令和5年度税制改正により、相続時精算課税に年間110万円の基礎控除が導入され、また、この基礎控除全額が持ち戻しの対象外となることから、令和6年1月1日以降、相続税低減ツールとして相続時精算課税が活用できることとなりました。

また、同税制改正により、暦年贈与について、相続財産に持ち戻すことが必要な期間が、相続前3年間から相続前7年間に延長されました。これにより、複数年の暦年贈与による相続税低減効果が薄くなりました。

この結果、これまで相続税低減効果のなかった相続時精算課税ではありますが、複数年の暦年贈与より、相続税等をより低減できるケースが出てきました。
グラフ
上のグラフは、資産額1億円、相続人3人(なお、配偶者はいないものとします)、相続発生まで10年という条件下でシミュレーションしたものですが、この場合、10年間にわたる暦年贈与(オレンジ色)よりも、相続時精算課税制度下で10年間の生前贈与(緑色)を行った方が、トータルの税金が低くなることがわかります。

今後、生前贈与による相続対策としては、暦年贈与のほか、相続時精算課税制度の活用できるようになったと言えます。

弊所では、生前贈与による相続対策の有料相談も行っております。ぜひご相談ください。

修正申告における事業税の認容額

修正申告の事業年度が複数年にわたるとき、事業年度の修正申告にかかる事業税を翌年の法人税修正申告で損金算入することができる。この損金算入額は、納税者が自発的に修正申告を行った場合、実際の事業税追徴税額であるが、税務調査などの結果、更正通知を受けて修正申告を提出する場合、税務署側が標準税率で計算した金額となる。では、その標準税率での計算方法はどのようなものであろうか。それをエクセルの数式で表すと、次のように計算される。事業税申告上の超過税率適用法人にも標準税率を用いることはもちろん、用いる所得は、事業税申告で実際に用いる所得ではなく、別表四の所得金額が用いられること、付加価値割の影響額算出に際しても実際の付加価値割を考慮せず前述の所得金額のみを利用して計算することに留意する。

外形標準課税対象法人の場合(※)
rounddown(rounddown(R’,-3)*(a+b),-2)+rounddown(rounddown(R’,-3)*a*c,-2)
-rounddown(rounddown(R,-3)*(a+b),-2)-rounddown(rounddown(R,-3)*a*c,-2)

外形標準課税対象法人以外の所得課税法人の場合
rounddown(rounddown(R’,-3)*a,-2)+rounddown(rounddown(R’,-3)*a*c,-2)
-(rounddown(rounddown(R,-3)*a,-2)-rounddown(rounddown(R,-3)*a*c,-2)

ただし、次のとおりとする。
R … 直前事業年度における当初申告における所得金額(別表四 最終行)
R’… 直前事業年度における修正申告における所得金額(別表四 最終行)
a … 事業税所得割の標準税率
b … 事業税付加価値割の標準税率
c … 特別法人事業税の標準税率

※ 端数切捨てのタイミングは、名古屋国税局管内で用いられていると思われる方法を記載した。この場合、県宛の事業税申告書における端数処理のタイミングと異なる。

関連の通達 法人税法基本通達9-5-2

一次相続の分割協議をする前に二次相続が発生した場合の一次相続の分割の可否

一次相続の分割協議をしないで(遺産分割協議書を作成しないで)、二次相続が発生した場合であっても、通常は、二次相続の複数の相続人間で、一次相続の遺産分割協議を行うことで、自由な遺産分割が可能である(ケース1)。

(ケース1)
父(一次相続) 母(二次相続)
長男 長女
⇒ 長男、長女で、一次相続、二次相続の相続税の負担等を考慮したうえで、一次相続及び二次相続の遺産分割協議を行うことが可能

他方で、二次相続の相続人が一人である場合(ケース2)には、遺産分割協議は行えず、法定相続分で遺産分割されたものとされる(参考となる判例に、東京地裁平成26年3月13日判決東京高裁平成26年9月30日判決)。

(ケース2)
父(一次相続) 母(二次相続)
長男(一人っ子)

この結果、ケース2の場合には、相続税の負担を考慮して遺産分割及び相続税申告を行うことはできず、法定相続分で遺産分割されたものとして、相続税の申告を行わなければならない。また、この場合、一次相続においては、遺産分割は行われてないという前提から、配偶者控除や小規模宅地等の特例の適用は不可となる(相続税法19条の2第2項及び租税特別措置法69条の4第4項)。もっとも、二次相続においては、一次相続の相続税にかかる債務控除及び相次相続控除の適用が可能である。

なお、一次相続の相続人間(ケース2における母と長男)において、一次相続の遺産分割協議が書面ではないが口頭で行われていた場合には、二次相続の相続人(ケース2における長男)が遺産分割協議証明書を作成して事実を証明し、それに従った、登記及び相続税申告を行うことになる。この場合には、遺産分割協議が行われていることから、配偶者控除や小規模宅地等の特例は適用しうる。

エストニア企業へのソフトウエア開発外注に係る源泉所得税は不要もしくは5%に軽減?

●概要
海外の企業に対してソフトウエア開発を外注する場合、著作権の使用許諾や譲渡が行われていると認められるときなどに、外注費の支払いにおいて20.42%の源泉所得税を控除しなければらないことがある。そのときでも、エストニア企業に外注する場合には、租税条約によって5%に軽減されるか免除となる可能性が高い。

なお、本稿は、研究を目的に掲載するもので、実務上の適用にあたっては、顧問の弁護士や税理士にご相談ください。また、本稿では、エストニア政府の課す税金については議論の対象外としています。

●詳細
(前提)
エストニアは、国家サービスのデジタル化において先進的な取組みが行われており、IT先進国として知られている。
では、エストニアに所在する法人又は個人(以下、外注先)に対して、ソフトウエアの開発を日本企業(以下、委託者)が外注する場合、委託者は外注費等の支払いに際して、どのような日本国での税務が必要となるのであろうか。

検討を容易にするため、次の場合を検討する。
事例① 委託者は、外注先の保持する著作権の使用許諾を受けて、納品データを日本国内で使用や複製する。
事例② 委託者は、納品データとともに、外注先から著作権の譲渡を受ける。
事例③ 納品データに著作性はなく、外注に際して著作権の譲渡を伴わない。
事例④ 委託者は、個人の外注先を従業員(非役員)として雇用し、エストニアにおいて勤務する(なお、このとき著作権は職務著作として委託者に原始的に帰属するものとする)。

外注先は、日本に支店や代理人を有していないものとする。また、外注先は、委託された作業を、エストニア国内においてのみ行い、データのみを通じて納品するものとする。

(結論)
1 (日本国の)源泉所得税:
事例① 5%に軽減 (なお、租税条約に関する届出書を日本国の税務署に提出する必要あり(注1))
事例② 免税 (なお、租税条約の関する届出書を日本国の税務署に提出する必要あり(注1))
事例③ 源泉徴収不要
事例④ 源泉徴収不要(なお、両国での社会保険、労働保険、労働法等の適用について別途検討を要することに留意)
2 (日本国の)消費税:
不課税

(理由)
1 源泉所得税
① まず、日本国の所得税法をみると、著作権使用料の源泉地判定について、使用地主義が採用されており、本件の源泉地は日本国内となるため、20.42%の源泉徴収必要である(所得税法第161条第1項第11号ロ)。そのうえで、日エストニア租税条約をみるに、使用料の源泉地の判定について債務者主義を取る(日エストニア租税条約第12条第5項)ため源泉地は日本国内となるが、使用料に課すことができる税率は5%が上限である(日エストニア租税条約第12条第2項)。
② まず、日本国の所得税法をみると、著作権の譲渡対価の源泉地判定について、使用地主義が採用されており、本件の源泉地は日本国内となるため、20.42%の源泉徴収が必要である(所得税法第161条第1項第11号ロ)。そのうえで、日エストニア租税条約をみるに、著作権の譲渡については、資産の譲渡として解釈でき、譲渡者の居住地国のみで課税できることから、日本国では免税となる(日波租税条約第13条第5項)。
③ 所得税法第161条第1項第6号及び第12号に国内源泉所得として規定されている人的役務提供事業及び人的役務提供の対価は、国内に所在して役務提供を行うことを前提としている。したがって、日本国の所得税法において、本件役務提供は、国内源泉所得に該当しない。
④ 日本国の所得税法では、役員でない従業員の海外勤務について国内源泉所得としておらず、源泉所得税を課していない(所得税法第161条第1項第12号イ)。

注1 実務上届出書を提出するが、届出書の提出は効力要件ではなく「提出がなければ軽減免除がされないということにはならない」(牧野好孝『事例でわかる国際源泉課税第3版』税務研究会出版局、2020年)という考え方が有力である(東京地裁平成27年5月28日判決も同趣旨。)。

2 消費税
①〜③ 消費税法上の資産の譲渡等に該当するが、外国において役務提供が行われるため、国外取引として不課税
④ 消費税法上の資産の譲渡等に該当するが、雇用契約に基づく労働であり、「事業」として行っていないため不課税。

(参考文献)
東京国税不服審判所次席国税審判官 小島 俊朗「プログラム開発を海外に委託する場合の手数料への課税とその所得区分について」『税大ジャーナル 8 2008. 6』

所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約

ポーランド企業へのソフトウエア開発外注に係る源泉所得税は不要?

●概要
海外の企業に対してソフトウエア開発を外注する場合、著作権の使用許諾や譲渡が行われていると認められるときなどに、外注費の支払いにおいて20.42%の源泉所得税を控除しなければらないことがある。そのときでも、ポーランド企業に外注する場合には、免除となる可能性が高い。

なお、本稿は、研究を目的に掲載するもので、実務上の適用にあたっては、顧問の弁護士や税理士にご相談ください。また、本稿では、ポーランド政府の課す税金については議論の対象外としています。

●詳細
(前提)
ポーランドは、世界的なIT企業などにより積極的に投資が行われており、IT人材が豊富とも言われる(参考記事)。
では、ポーランドに所在する法人又は個人(以下、外注先)に対して、ソフトウエアの開発を日本企業(以下、委託者)が外注する場合、委託者は外注費の支払いに際して、どのような日本国での税務が必要となるのであろうか。

検討を容易にするため、次の場合を検討する。
事例① 委託者は、外注先の保持する著作権の使用許諾を受けて、納品データを日本国内で使用や複製する。
事例② 委託者は、納品データとともに、外注先から著作権の譲渡を受ける。
事例③ 納品データに著作性はなく、外注に際して著作権の譲渡を伴わない。
事例④ 委託者は、個人の外注先を従業員(非役員)として雇用し、ポーランドにおいて勤務する(なお、このとき著作権は職務著作として委託者に原始的に帰属するものとする)。

外注先は、日本に支店や代理人を有していないものとする。また、外注先は、委託された作業を、ポーランド国内においてのみ行い、データのみを通じて納品するものとする。

(結論)
1 (日本国の)源泉所得税:
事例① 免税 (なお、租税条約に関する届出書を日本国の税務署に提出する必要あり(注1))
事例② 免税 (なお、租税条約の関する届出書を日本国の税務署に提出する必要あり(注1))
事例③ 源泉徴収不要
事例④ 源泉徴収不要(なお、両国での社会保険、労働保険、労働法等の適用について別途検討を要することに留意)
2 (日本国の)消費税:
不課税

(理由)
1 源泉所得税
① まず、日本国の所得税法をみると、著作権使用料の源泉地判定について、使用地主義が採用されており、本件の源泉地は日本国内となるため、20.42%の源泉徴収必要である(所得税法第161条第1項第11号ロ)。そのうえで、日波租税条約をみるに、使用料の源泉地の判定について債務者主義を取る(日波租税条約第12条第5項)ため源泉地は日本国内となるが、文化的使用料として免税である(日波租税条約第12条第2項(b))。
② まず、日本国の所得税法をみると、著作権の譲渡対価の源泉地判定について、使用地主義が採用されており、本件の源泉地は日本国内となるため、20.42%の源泉徴収が必要である(所得税法第161条第1項第11号ロ)。そのうえで、日波租税条約をみるに、著作権の譲渡については、資産の譲渡として解釈でき、譲渡者の居住地国のみで課税できることから、日本国では免税となる(日波租税条約第13条第4項)。
③ 所得税法第161条第1項第6号及び第12号に国内源泉所得として規定されている人的役務提供事業及び人的役務提供の対価は、国内に所在して役務提供を行うことを前提としている。したがって、日本国の所得税法において、本件役務提供は、国内源泉所得に該当しない。
④ 日本国の所得税法では、役員でない従業員の海外勤務について国内源泉所得としておらず、源泉所得税を課していない(所得税法第161条第1項第12号イ)

注1 実務上届出書を提出するが、届出書の提出は効力要件ではなく「提出がなければ軽減免除がされないということにはならない」(牧野好孝『事例でわかる国際源泉課税第3版』税務研究会出版局、2020年)という考え方が有力である(東京地裁平成27年5月28日判決も同趣旨。)。

2 消費税
①〜③ 消費税法上の資産の譲渡等に該当するが、外国において役務提供が行われるため、国外取引として不課税
④ 消費税法上の資産の譲渡等に該当しない。

(参考文献)
東京国税不服審判所次席国税審判官 小島 俊朗「プログラム開発を海外に委託する場合の手数料への課税とその所得区分について」『税大ジャーナル 8 2008. 6』

「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」及び「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約」に係る統合条文

ウクライナ企業へのソフトウエア開発外注に係る源泉所得税は不要?

●概要
海外の企業に対してソフトウエア開発を外注する場合、著作権の使用許諾や譲渡が行われていると認められるときなどに、外注費の支払いにおいて源泉所得税を控除しなければらないことがある。そのときでも、ウクライナ企業に外注する場合には、租税条約によって免除となる可能性が高い。

なお、本稿は、研究を目的に掲載するもので、実務上の適用にあたっては、顧問の弁護士や税理士にご相談ください。また、本稿では、ウクライナ政府の課す税金については議論の対象外としています。

●詳細
(前提)
ウクライナは、国家サービスのデジタル化の分野で、世界的にも先進的な取組みを行っている(参考記事)。
では、ウクライナに所在する法人又は個人(以下、外注先)に対して、ソフトウエアの開発を日本企業(以下、委託者)が外注する場合、委託者は外注費の支払いに際して、どのような日本国での税務が必要となるのであろうか。

検討を容易にするため、次の場合を検討する。
事例① 委託者は、外注先の保持する著作権の使用許諾を受けて、納品データを日本国内で使用や複製する。
事例② 委託者は、納品データとともに、外注先から著作権の譲渡を受ける。
事例③ 納品データに著作性はなく、外注に際して著作権の譲渡を伴わない。
事例④ 委託者は、個人の外注先を従業員(非役員)として雇用し、ウクライナにおいて勤務する(なお、このとき著作権は職務著作として委託者に原始的に帰属するものとする)。

外注先は、日本に支店や代理人を有していないものとする。また、外注先は、委託された作業を、ウクライナ国内においてのみ行い、データのみを通じて納品するものとする。

(結論)
1 (日本国の)源泉所得税:
事例① 免税 (租税条約に関する届出書を日本国の税務署に提出する必要あり(注1))
事例② 免税 (租税条約の関する届出書を日本国の税務署に提出する必要あり(注1))
事例③ 源泉徴収不要
事例④ 源泉徴収不要(なお、両国での社会保険、労働保険、労働法等の適用について別途検討を要することに留意)
2 (日本国の)消費税:
不課税

(理由)
1 源泉所得税
① まず、日本国の所得税法をみると、著作権使用料の源泉地判定について、使用地主義が採用されており、本件の源泉地は日本国内となるため、20.42%の源泉徴収必要である(所得税法第161条第1項第11号ロ)。そのうえで、日宇間の租税条約として適用される日ソ租税条約をみるに、使用料の源泉地の判定について債務者主義を取る(日ソ租税条約第9条第4項)ため源泉地は日本国内となるが、文化的使用料として免税である(日ソ租税条約第9条第2項a)。
② まず、日本国の所得税法をみると、著作権の譲渡対価の源泉地判定について、使用地主義が採用されており、本件の源泉地は日本国内となるため、20.42%の源泉徴収が必要である(所得税法第161条第1項第11号ロ)。そのうえで、日宇間の租税条約として適用される日ソ租税条約をみるに、著作権の譲渡については、資産の譲渡として解釈でき、譲渡者の居住地国のみで課税できることから、日本国では免税となる(日ソ租税条約第11条第5項)。
③ 所得税法第161条第1項第6号及び第12号に国内源泉所得として規定されている人的役務提供事業及び人的役務提供の対価は、国内に所在して役務提供を行うことを前提としている。したがって、日本国の所得税法において、本件役務提供は、国内源泉所得に該当しない。
④ 日本国の所得税法では、役員でない従業員の海外勤務について国内源泉所得としておらず、源泉所得税を課していない(所得税法第161条第1項第12号イ)。

注1 実務上届出書を提出するが、届出書の提出は効力要件ではなく「提出がなければ軽減免除がされないということにはならない」(牧野好孝『事例でわかる国際源泉課税第3版』税務研究会出版局、2020年)という考え方が有力である(東京地裁平成27年5月28日判決も同趣旨。https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85442

2 消費税
①〜③ 消費税法上の資産の譲渡等に該当するが、外国において役務提供が行われるため、国外取引として不課税
④ 消費税法上の資産の譲渡等に該当するが、雇用契約に基づく労働であり、「事業」として行っていないため不課税。

(参考文献)
東京国税不服審判所次席国税審判官 小島 俊朗「プログラム開発を海外に委託する場合の手数料への課税とその所得区分について」『税大ジャーナル 8 2008. 6』https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/backnumber/journal/08/pdf/08_03.pdf

『税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」及び日本国とウクライナの二国間の関係に適用される「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約」に係る統合条文』
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/191018ukraine_j.pdf

インボイス制度をめぐる協力業者(外注先)とのコミュニケーション文書例

2023年10月よりはじまるインボイス制度に備え、小規模な協力業者(外注先)とのコミュニケーションをどう図っていくか迷う事業者も多いと思われます。そこで、小規模な協力業者(外注先)にインボイス制度を伝えるとともに、対応方針をヒアリングするためのコミュニケーションツール例を公開いたします。社内外の関係者や法律専門家、税理士とも十分ご協議のうえ、活用なさる方の責任においてご活用ください。

インボイス制度をめぐる協力業者(外注先)とのコミュニケーション文書例
(以下、事例)———————————————————————————————————————–
協力事業者の皆様
インボイス制度対応アンケート
202●年●月●日
●●株式会社
●●●●

前略
平素より弊社事業に多大なるご協力を頂き誠にありがとうございます。
さて、わが国では、2023年10月1日より、いわゆる「インボイス制度」が開始されます。これに伴い、消費税申告及び納税を行う「適格請求書発行事業者」(注1)にならない限り、いわゆる「適格請求書」を発行できなくなり、消費税額をご請求頂くことができなくなります。

皆様におかれましては、この「インボイス制度」へのご対応を種々ご検討のことと思います。弊社といたしましても、皆様とのコミュニケーションを通じて、この制度対応を図っていきたいと考えております。ついては、お忙しいところ誠に恐縮ですが、下記に、貴社名・ご担当者名等をご記入いただくとともに、現在ご検討の対応方針に最も近い[  ]に○を付けて、ご返信いただけると幸いです。なお、すでに適格請求書発行事業者登録番号の通知を受けている場合には、その番号も付記いただけると幸いです。
草々


貴社名・ご担当者名 [              ]
1 2023年10月1日以降、適格請求書発行事業者となり引続き消費税額を請求する(注2)貴社の適格請求書発行事業者登録番号[              ](通知を受けている場合ご記入ください)
[   ]1-1 取引価格(税抜価格+消費税)に変更を予定していない。
[   ]1-2 新たに消費税申告及び納税を行うことにより利益が減少することから、取引価格(税抜価格+消費税)の相応の値上げを検討している。

2 適格請求書発行事業者にはならず、消費税額を請求しない。
[   ]2-1 現在の取引価格(税抜価格+消費税)のうち税抜価格を取引価格とする予定。
[   ]2-2 消費税相当額を請求できなくなることにより利益が減少することから、税抜価格から相応の値上げを行った額を取引価格とすることを検討している。

3 その他(内容をご記入ください)
[   ] [                                  ]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
注1 詳しくは、国税庁サイト(一例として以下)をご覧いただくか、税務署にお尋ねください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022001-174.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
注2 この場合、2021年10月1日から2023年3月31日までの間に適格請求書発行事業者登録申請書を税務署に提出する必要があります。
(以上事例)————————————————————————————————————-

なお、財務省・公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省は、「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」を連名で発表し、取引や取引条件の見直し方法如何によっては、独占禁止法、下請法、建設業法上問題になりうることを明らかにしています。社内外の関係者や法律専門家、税理士とも十分ご協議のうえ、ご活用ください。

国内の取引関係が円滑に維持されることをお祈りしております。

 

租税教室レジュメ例(2021年・名古屋国税局管内・中学生用)

弊事務所では、地元の租税教育推進協議会に協力し、地元の学校で行われる租税教室の講師を担当させていただくことがあります。2021年は、金融所得に累進課税が適用されないことの是非が話題となったり、タックスヘイブンを将来的に事実上なくす歴史的な国際合意がなされたことから、人気ソフト「あつ森」やネット通販などを題材に、それらについても簡単に触れています。租税教育のため教室内で利用する場合には、講師の責任にて自由に加工して使っていただければと思います。なお、租税教育のための基本的な考え方の紹介であり、税務実務には直接参考にしないでください。

2021年度版租税教室資料例(名古屋国税局管内用 中学生向け)

特徴
・最近のトピックとして、「あつ森」を題材に、金融所得課税をめぐる二元的所得税の是非を考えたり、ネット通販を題材に国際課税の動向を紹介しています。
・担当講師が加工して使っていただけるように、パワーポイントにて提供しています。
・自己紹介を除き、講師が発言すべきことは、極力ノートに記載しています

前提
・名古屋国税局が作成した、次の教材の使用を前提としています(過年度の教材は国税局のサイトから削除されていることがあります。
中学生用「ハロー・タックス」(令和三年度版)
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/education/kyozai02/index.htm
・税理士が講師を務めることを前提に、自己紹介では税理士の職業紹介をしています。
・50分での授業展開になっています

非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例を受けるための担保提供フロー(株券不発行の場合)

非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例を受けるための担保提供の手続きは、時系列的に書籍や公表資料などでは明らかにされていないことが多い。簡単にまとめると次のとおり。迷う場合には所轄税務署の管理運営部門にご相談下さい。

前提
株券不発行会社
対象非上場株式の全部を提供

基本的なフロー
贈与税申告

・担保提供書(様式301) … 利子税や税額合計は本来所要の計算をすべきであるが、計算が複雑なため、国税局納税管理官や税務署の管理運営部門では空白にすることを推奨している模様。記載する場合でも、捨印を押印しておくことを推奨している模様(他様式も同様)。
・担保目録(様式302) … 「単価」や「価額」は、贈与時ではなく担保提供時点のものを記載すべきであるが、「みなす充足」の適用を受ける場合には空白にしておくことも容認されている模様。
・質権設定承諾書(様式306)
・受贈者個人の印鑑証明書
注1

贈与税の申告期限

税務署から担保設定についての通知(申告期限から正式な審査がスタートして、概ね1~2か月程度の模様)
↓(指定された期限内に)注2
・株主名簿記載事項証明書 … 質権者の名称、住所、質権の対象となる株式について記載する(会社法149条)
・法人代表者の印鑑証明書

注1 株券発行会社の場合には、質権の効力発生に株券の交付が必要となるため「速やかに担保関係書類を行う旨の確約書」(様式303)が求められるが、株券不発行会社の場合には、様式306(及び印鑑証明書)と税務署による意思表示をもって質権の効力発生するため、前述のような確約書の提出が不要になっていると思われる。ただし、質権の対抗要件を満たすためには、株主名簿への記載又は記録が必要であるため、その後、税務署が通知する期限内に株主名簿記載事項証明書が提出する。通知された期限内にこれができない場合には、担保関係書類の提出を行う旨の確約書(株券不発行会社用 様式307)が必要とされる(注2参照)。

注2 税務署から指定された期限に間に合わない場合には、次の書類で、提出できる期限を確約する。
担保関係書類の提出を行う旨の確約書(株券不発行会社用 様式307)

手続きの概要
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/qa/index_6.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/qa/qa_6/q09.htm

様式
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/yoshiki/02.htm

相続人が海外に居住している場合の相続税の電子申告

相続人が国内に住所を有していない場合には、税理士を納税管理人として選任し、相続税申告を行うのが一般的である。税理士が納税管理人である場合には、当該相続税申告を電子申告にて行うことができるが、税務署は次の方法を指導している模様。
・利用者識別番号には、納税管理人である税理士のものを用いる。
・申告書の氏名のフリガナ欄に「納税管理人××××(税理士名)」を記載する。
・申告書の氏名欄・住所欄には、相続人本人及びその海外の住所を記載する。