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修正申告の別表四における消費税の処理方法(消費税差額をどう表現するか)

(概要)
・税抜処理の法人が修正申告が行う場合、別表四における消費税の処理方法は、次の2つが考えられる。
別表四に損益計算書への影響を記載する方法(以下、第1法)と別表四に貸借対照表への影響額を記載する方法(以下、第2法)とである。
・税務署での署内処理は、第1法にて処理されている模様であるが、担当官とのコミュニケーションを図れれば、第2法も容認されている模様である。
・この2つは消費税差額の表現方法に違いがある。
・今般の修正について、損益計算書を遡及修正したり、前期修正損益を計上する場合には第1法が、単に申告調整で済ませる場合には第2法が、効率的だと思われる。

(詳細)
税抜処理の法人が修正申告が行う場合、別表四における消費税の処理方法は、次の2つが考えられる(前提となる事例は後述)。

第1法 損益計算書への影響額を別表四に記載する方法
●修正申告書
<別表四>
加算 売上計上漏れ 100
加算 消費税差額    1
<別表五>
売掛金   110
未払消費税  △9

●申告ソフトへの入力例
まず、修正対象取引を税込金額で認識
売掛金(別表5)110
/ 売上計上漏れ(別表4)110

次に、消費税部分を認識し税抜処理
売上計上漏れ(別表4)10
/ 未払消費税(別表5)10

最後に、消費税差額(雑収入)を認識
未払消費税(別表5)1
/ 消費税差額(別表4)1

(メリット)損益計算書を遡及修正したり、修正申告を提出する事業年度で前期修正損益を計上する場合には、損益計算書と整合性を確認するのが容易。
(デメリット)消費税の修正によって、消費税差額が生じるか検証し、端数が生じる場合には「消費税差額」などとして別表四に記載する必要がある。
(デメリット)別表五の記載額と1対1の対応関係でなくなるため、別表四と別表五のつながりがわかりにくくなる。

第2法 貸借対照表への影響額を記載する別表五に合わせて、別表四に記載する方法
●修正申告書
<別表四>
加算 売掛金 110
減算 未払消費税 9
<別表五>
売掛金    110
未払消費税   △9

なお、この第2法は必ずしも税込金額を意味しない。
例えば、固定資産の計上漏れの場合には、固定資産は税抜金額で計上する。
すなわち、貸借対照表への影響を記載する。

●申告ソフトへの入力例
貸借対照表への影響額を調整項目として入力する
売掛金(別表5)110
/ 売掛金(別表4)110
売上計上漏れ(別表4)9
/ 未払消費税(別表5)9

(メリット)消費税差額を考える必要がなく簡便に作成できる。
(メリット)別表五と1対1の対応関係であり、別表四と別表五のつながりがわかりやすい。
(デメリット)今般の修正について、単純に申告調整のみで対応するのであればデメリットにはならないが、損益計算書を遡及修正したり、修正申告を提出した事業年度で前期修正損益を計上する場合には、損益計算書と整合性を確認するのが面倒になる。

以上より、
今般の修正について、損益計算書を遡及修正したり、前期修正損益を計上する場合には、修正申告に伴う消費税差額を個別に表現し、修正申告と損益計算書との整合性をとりやすくした方が良いことから、第1法が適合すると思われる。
他方、単に申告調整で済ませる場合には、当該消費税差額を個別に把握して記載する必要まではなく、簡便な方法が望まれると考えられることから、第2法が効率的と思われる。

なお、
税務署での署内処理は、基本的に第1法で処理されている模様であり、どちらの方法で修正申告するかは事前に税務署と打合せしておくことが望ましい。

(前提となる事例)
申告期限後に、売上の過小計上が判明し、次の修正が必要となった。
なお、消費税の修正申告案の作成は済んでいるものとする。
売掛金 110  / 売上    100
_________/ 仮受消費税 10
仮受消費税 10 / 未払消費税     9
_________/ 雑収入(消費税差額)1

個人事業の承継において、事業資産の簿価が少額であれば生前の事業承継の方が有利なことが多い。

<概要>

・個人事業の承継において、棚卸資産及び減価償却資産の簿価が少額であれば、生前の事業承継の方が消費税上、有利なことが多い。(2018年7月3日時点)
・ただし、本件について、消費税法の見直しが今後行われる可能性がある(2019年3月12日追記)。

<詳細>

①生前の事業承継の場合は、通常、棚卸資産及び減価償却資産の簿価で親から子に売買するので、当然に親において売買金額に消費税がかかる。売買処理を行わない場合でも下記の「みなし譲渡」※の規定によりこの消費税から逃れることはできない。

②相続による事業承継の場合は、相続により資産を引き継ぐことになるが、みなし譲渡の適用はないので、消費税の負担は生じない。

とすると②がお得のように思えるが、②相続による事業承継の場合、子は親の消費税の納税義務を引継いでしまい、初年度から消費税の納税義務者となってしまう。一方、①生前の事業承継の場合は、消費税の納税義務は引き継がないので、最長2年間免税となることができることから、棚卸資産及び減価償却資産の簿価が相対的に少額であれば(当該資産の譲渡に係る消費税額が、免税期間に事業から生ずる消費税額より小さければ)、②より節税になるケースが多い。

※ みなし譲渡
消費税のみなし譲渡(国税庁HP)個人事業者の自家消費とは、個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業用に使用していたものを家事のために消費又は使用することをいいます。個人事業者が自家消費を行った場合は、その資産を消費又は使用した時のその資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。ただし、棚卸資産を自家消費した場合は、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。

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今後、消費税法改正の可能性あります(2019年3月12日追記)

2018年11月9日に公表された会計検査院の『平成29年度決算検査報告』では、本論点について次のように報告された。
「開廃業手続による事業の引継ぎを行って事業を開始した新経営者が(中略)、事業者免税点制度により免税事業者となっている現状は、(中略)事業者免税点制度の趣旨に沿ったものとはなっていないと思料される。ついては、本院の検査によって明らかになった状況を踏まえて、消費税に関わる幅広い議論が十分なされるよう、財務省において、事業者免税点制度等の在り方について、引き続き、様々な観点から有効性及び公平性を高めるよう検討を行っていくことが肝要である。」(前掲書904頁)
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/all/pdf/fy29_11_03.pdf

事業承継を積極的に促していく観点から本制度を維持すべきとの議論も考えられるが、税法は、会計検査院の報告後に改正議論が高まることがあり(本制度と同列に語られるべき制度ではないが、例えば、いわゆる「自動販売機スキーム」という消費税の還付処理は、『平成20年度決算検査報告』で報告された後、平成22年税制改正で事実上封じられた。)、本制度についても今後改正されていく可能性があることに留意したい。