あくまで一例ですが、電子帳簿保存法対応の方向性の例を記してみます。
1 電子取引にかかる取引データは、タイムスタンプ機能がなくとも、既存の基幹システムもしくは会計システムに取り込んでいく。
∵ 現状、ファイルサーバーの共有フォルダへの保存を行っている企業も多いと思われるが、検索性要件を満たすための事務コストが相応に必要となる。このため、検索性要件を容易に満たすためには、専用の文書保管システムを導入するか、既存のシステムに取り込むかが、選択肢となる。このうち、既存のシステムとの連携の方が、生産性向上につながりやすいことが多い。
なお、既存のシステムにタイムスタンプ機能を付与できない場合の真実性の要件を満たす手段としては、規則の制定・運用が考えられる。
2 紙文書のスキャンは、経費精算クラウドなどを活用する場合を除き、極力行わない。紙の文書は、そのまま保存するか、取引における紙文書のやりとりをなくし電子取引への移行をすすめていく。
∵ 紙のスキャンは、真実性の要件を満たすために、タイムスタンプ機能の実装が必須となる。タイムスタンプ機能の実装のためには、専用の文書保管システムを必要とすることも多い。また、スキャンする事務自体が必要となり事務コストが増す。
電子帳簿保存法対応を契機として、企業の生産性の向上につながることを願っております。