浜松」タグアーカイブ

弥生PAPカンファレンス 2018 夏に参加してきました。

<概要>
・中小企業と会計事務所は、各社から次々と提供される廉価あるいは無料のITサービスを利用して、業務を効率化していくことができる。
・仕訳データを活用した法人融資審査業務を提供するアルトア(株)と地域金融機関との提携は、地域金融機関における法人融資審査を進化させる可能性を秘めている。


(弊事務所事例発表)

<詳細>
2018年7月4日、弥生PAPカンファレンス 2018 夏の名古屋会場に参加してきました。
事例発表では、弊事務所からも、弥生会計を活用した経理業務の効率化事例を発表させて頂きましたが、二組目の登壇者である税理士法人葵パートナーズ様の発表、また、弥生(株)の子会社であるアルトア(株)の発表は、とても刺激的な内容でした。

税理士法人葵パートナーズ様の発表では、各社から次々と提供される廉価あるいは無料のITサービス(chatworkslackfacebookメッセンジャーgoogleドライブgoogleスプレッドシートkintoneクラウドサイン)を駆使して、会計業務の効率化、雇用体系の多様化を図り、そこで生み出される時間を活かし、地域の枠を超えて高付加価値を提供する会計事務所の在り方を、勉強させていただきました。

また、アルトア(株)の発表では、仕訳データを活用してAI即時自動審査を行っている法人融資サービスにつき、平成29年12月に自社で開始した現状が報告されました。同社では、地域金融機関(千葉銀行、福岡銀行、山口フィナンシャルグループ、横浜銀行)と業務提携しており、将来的に、地域金融機関での同機能の活用を目指されています。決算情報を基にした単なるスコアリングではなく、仕訳一本一本を分析して、人による融資審査に近づけようとするシステムの導入は、融資担当者をできる限り定量的な分析から解放し定性的評価に集中できるという意味で、法人融資の効率化と深化を推進していくものと思われます。

弊事務所としても、適切な納税義務の実現や金融の円滑化に役立つ会計サービスを、効率的にお客様にご提供できるよう、業務プロセスの不断の見直しを図っていきたいと思います。

(公式サイトへのリンク:https://www.yayoi-kk.co.jp/pap/report/conference-2018/summer.html

過年度について修正申告や更正の請求がある場合の別表五(二)の書き方

(概要)
・別表五(二)に記載する未納税額は、国税に提出した修正申告や更正の請求の内容に連動させる。
・別表五(二)に記載する納税充当金は、企業会計上の勘定科目(未払法人税等、未払事業税)に連動させる。

(詳細)
日本の企業会計では、平成21年12月4日に「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)と同適用指針(企業会計基準適用指針第24号)が公表されました。 この結果、平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後、会計方針や表示方法の変更、過去の誤謬の訂正があった場合には、あたかも新たな会計方針や表示方法等を過去の財務諸表にさかのぼって適用していたかのように会計処理又は表示の変更等を行うこととなりました。では、このとき、過年度の税務申告について、修正申告や更正の請求を行う場合、税務申告書の記載はどのように行ったらいいのでしょうか。別表四及び別表五(一)の記載については、言及している書籍やサイトも多いので、以下では、別表五(二)について私見を述べていきます。判断に迷う場合には、所轄の税務署に相談していただければと思います。

別表五(二)の記載の基本的な考え方について

・別表五(二)に記載する未納税額は、国税に提出した修正申告や更正の請求の内容に連動させる。

・納税充当金は、税務申告上の未納税額ではなく、企業会計上の未払税金(「未払法人税等」「未払事業税等」など)に係る勘定科目残高を反映させる。

・過年度について修正申告や更正の請求を行った場合に、企業会計上も遡及修正した場合には、「期首現在未納税額①」(事業税の場合は「当期発生額②」)及び「期首納税充当金㉛」を修正したうえで(注)、「充当金取崩しによる納付③」を反映する。ただし、地方税のみの修正申告や更正の請求を行い国税について修正申告や更正の請求を伴わなかった場合、前述の取扱いのうち「期首現在未納税額①」の修正は、「当期発生額②」の修正と読み替える。

注 過年度の企業会計上の遡及修正に合わせて、別表五(二)の納税充当金の期首を変更する場合には、別表五(一)の「納税充当金」期首も変更することになるが、同時に「繰越損益金」はじめ利益積立金各区分の期首も、企業会計上の遡及修正に合わせて変更することで、別表五(一)利益積立金の「差引合計額」期首に変更がないようにし、別表五(一)利益積立金の連続性を差引合計額ベースで維持する。

・過年度について修正申告や更正の請求を行った場合に、重要性に鑑み遡及修正せず当期の法人税等や事業税等として会計処理した場合には、「期首現在未納税額①」(事業税の場合は「当期発生額②」)を修正したうえで、「損金経理による納付⑤」に反映する。ただし、地方税のみの修正申告や更正の請求を行い国税について修正申告や更正の請求を伴わなかった場合、前述の取扱いのうち「期首現在未納税額①」の修正は、「当期発生額②」の修正と読み替える。

・以上の取扱いで、企業会計上の未収税金(「未収還付法人税等」など)に係る勘定科目残高の遡及修正が生じる場合には、別表五(一)における利益積立金の調整区分(「仮払税金」等)に反映するか、別表五(二)の納税充当金をマイナス表示にする。

・事業税の修正申告を行った場合、修正申告を行った日の属する事業年度に損金算入することが原則であるが、修正申告の対象が前々期などの場合、修正申告対象年度の翌期に減算することもできる。この方法を採用する場合には、修正申告対象年度の翌事業年度に別表四で減算・留保したうえで、修正申告にかかる納税を行った事業年度に当該留保金額を別表四で加算・留保という調整を行うが、実際の事業税追徴税額と損金認容額が異なることがあるから、原則通り、別表五(二)の記載は、修正申告を行った日の属する事業年度において当期発生額②に記載し、追徴税額の納付を行った事業年度に「損金経理による納付⑤」に反映することがわかりやすい。

編集履歴 2018年10月26日 地方税のみ修正申告や更正の請求を行った場合の取扱いを追記しました。2022年7月22日 遡及修正の場合の別表五(一)への影響を追記しました。