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一次相続の分割協議をする前に二次相続が発生した場合の一次相続の分割の可否

一次相続の分割協議をしないで(遺産分割協議書を作成しないで)、二次相続が発生した場合であっても、通常は、二次相続の複数の相続人間で、一次相続の遺産分割協議を行うことで、自由な遺産分割が可能である(ケース1)。

(ケース1)
父(一次相続) 母(二次相続)
長男 長女
⇒ 長男、長女で、一次相続、二次相続の相続税の負担等を考慮したうえで、一次相続及び二次相続の遺産分割協議を行うことが可能

他方で、二次相続の相続人が一人である場合(ケース2)には、遺産分割協議は行えず、法定相続分で遺産分割されたものとされる(参考となる判例に、東京地裁平成26年3月13日判決東京高裁平成26年9月30日判決)。

(ケース2)
父(一次相続) 母(二次相続)
長男(一人っ子)

この結果、ケース2の場合には、相続税の負担を考慮して遺産分割及び相続税申告を行うことはできず、法定相続分で遺産分割されたものとして、相続税の申告を行わなければならない。また、この場合、一次相続においては、遺産分割は行われてないという前提から、配偶者控除や小規模宅地等の特例の適用は不可となる(相続税法19条の2第2項及び租税特別措置法69条の4第4項)。もっとも、二次相続においては、一次相続の相続税にかかる債務控除及び相次相続控除の適用が可能である。

なお、一次相続の相続人間(ケース2における母と長男)において、一次相続の遺産分割協議が書面ではないが口頭で行われていた場合には、二次相続の相続人(ケース2における長男)が遺産分割協議証明書を作成して事実を証明し、それに従った、登記及び相続税申告を行うことになる。この場合には、遺産分割協議が行われていることから、配偶者控除や小規模宅地等の特例は適用しうる。