廃業した翌年度にも納付書が税務署より届くことがあります。

個人事業を廃業した場合、廃業した年度について通常、最後の確定申告をすることになりますが、振替納税を登録していない確定申告を行った個人の方に対しては翌年度に納付書を送るという税務署の事務フローの関係で、廃業届を出した方についても確定申告時期に、所得税や消費税(消費税については課税事業者の場合。以下同じ。)の納付書が届いてしまいます(平成29年3月2日現在)。この場合、申告すべき所得や課税売上(※)がなければ、申告及び納付は当然不要です。

※ 法人成りや事業承継などにおいて廃業時の事業資産を事業承継先に移転する場合も、消費税法上、資産の譲渡に該当します。また、プライベートで使用する場合にも、消費税法上、譲渡があったものとみなされます。そのような譲渡がある場合には、免税事業者を除き、申告・納税が必要となります。

他方、廃業翌年の期中の話として、所得税の予定納税額が発生している場合、予定納税については、減額申請をしない限り、納税が必要となりますので留意が必要です。また、廃業年度以後に新たな資産の譲渡等がなくとも、消費税の事業廃止届を速やかに提出していない場合には、消費税の中間申告及び納付が必要になります(その後の還付を受けることになりますが、その場合の手続きについては本記事では省略します)。このとき、仮決算方式による中間申告を行うことにより、中間納付の納税額を抑えられることがあります。さらに、廃業前に給与の支払いを行っていたものの、給与支払事務所等の廃止届出書を出していない場合、源泉税の納税を行っていないと国税局・税務署から問い合わせがくることがあります。この場合には、提出の漏れていた給与支払事務所等の廃止届を提出します。

他方、地方税ですが、まず、住民税については、前年分の所得に対して課税がなされますので、市町村から来る住民税の通知が来た場合にはこれを納める必要があります。この場合、口座振替登録済であれば納付書による納付は不要です。次に、事業税については、廃業した翌年の春に県税事務所より納付書が届きますが、例えば静岡県の場合、口座振替登録をしていても口座振替は行われませんので、届いた納付書により納付(当該納付書記載の納付番号によるpay-easyを利用した納付を含みます)することが必要です。

freeeで出力する税務代理権限証書データは、e-taxソフトで「添付書類」ではなく「申告・申請等」として組み込む。

(概要)
個人事業主向けfreeeで作成・ダウンロードした税務代理権限証書データは、e-taxソフトで「添付書類」ではなく「申告・申請等」として組み込んで利用する(2018年2月22日現在)。
(詳細)
税務代理権限証書は、申告書の添付書類として電子申告することが一般的であるが、個人事業主向けfreeeで作成・ダウンロードする税務代理権限証書データを、e-taxソフトにおいて組み込んで利用する場合には、「添付書類」ではなく「申告・申請等」において組み込み、単体の書類として提出する。e-taxソフトにおいて添付書類は、xml形式で組み込むことになっているが、freeeから出力される税務代理権限証書データは、xtx形式であるためである。なお、日本税理士連合会によれば、税務代理権限証書の単体での提出は認められている(http://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/auth/faq/ans06/ の6-3-2の回答を参照)。

freeeを用いる個人事業主は、消費税の電子申告をe-taxソフトで行う。

個人事業主に人気のfreeeであるが、freeeを利用して電子申告するだけでは申告が完結しない場合がある(2018年2月22日現在)。
例えば、次のような場合である。
・消費税の課税事業者 … 消費税申告は、紙で出力して郵送するか、e-taxソフトを利用して電子申告する。
・配偶者以外の扶養親族が4名以上 … freee上で登録できないため、紙で出力して加筆の上郵送するか、e-taxソフトを利用して追記して電子申告する。

二世帯住宅であっても住宅取得等資金の非課税の適用を受けることができる模様

<概要>
二世帯住宅の子世帯が住む部分の床面積が二世帯住宅全体の床面積の1/2未満であっても、住宅取得等資金の非課税の適用を受ける実務が認められている模様

<詳細>
祖父Aが、父Bと子Cそれぞれに1000万円ずつの住宅取得等資金の贈与を行い、父Bと子Cが共有の二世帯住宅を建てた場合、父Bと子Cは、住宅取得等資金の非課税の適用を受けることができるのか。この場合、租税特別措置法40条の4の2第3項の「特定受贈者がその居住の用に供する家屋(その家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が専ら当該居住の用に供されるものに限る)」の要件は満たすのかという問題が生じる。なぜならば、父世帯の床面積が120㎡、子世帯の床面積が100㎡の場合、子世帯の床面積100㎡は、二世帯住宅全体の床面積220㎡の1/2未満となり、上記の規定を満たさないと考える向きもあるためである。
この点、ある税務署では、二世帯住宅の場合、父世帯、子世帯合わせて、居住用部分と考えてよく、問題ないとの回答を示している。前述の規定は、事業用部分を適用対象外とする規定であるとの説明である。
この場合、父B、子Cそれぞれにおいて、住宅取得等資金の非課税の適用を受けることが可能との判断となる。
所轄税務署と相談のうえ、対応いただきたい。

5棟10室未満でも青色申告にすべき

(概要)不動産賃貸業を営む場合、「5棟10室」未満の規模でも青色申告承認申請書は提出すべき

(詳細)不動産賃貸業の方の青色申告に対する誤解は2つあると思う。1つは、メリットの誤解、もう一つは、デメリットの誤解である。

まず、メリットだが、いわゆる事業的規模(賃貸家屋が概ね5棟あるいは概ね10室の規模)でない場合、65万円の青色申告特別控除が取れない、また、専従者給与が取れない、ゆえにメリットは何もないという誤解があると思う。しかし青色申告のメリットはそれだけではない。損失の繰越ができることである。例えば、不動産賃貸業の初年度は、不動産取得税や諸経費がかさみ、赤字になることがある。また、賃貸物件の建て替えや大規模修繕時に、多額の撤去費用や修繕費を計上し赤字になることがある。これらのときに青色申告であれば、事業的規模でなくとも、翌年以降に損失(ただし、除却損は除く)の繰越ができるし、青色申告特別控除も10万円ならば取ることができる。

次にデメリットであるが、帳簿が大変になるという誤解がある。しかし、青色申告者にならなくとも、帳簿の記録保存は行わなければならない。また、青色申告になったからといって、必ずしも複式簿記の帳簿作成をする必要はない(ただし、この場合、事業的規模になっても、65万円の青色申告特別控除は取れない)。

すなわち、青色申告になることで、ほぼ負担は変わらないのにメリットは享受できるといえよう。

なお、青色申告の承認申請書の提出期限は、原則として、事業開始から二ヶ月以内であり、その後は、申告対象年度の3月15日である。

要介護認定を受けていれば、所得税及び相続税の障害者控除の適用を受けられる可能性が高い。

<概要>
・要介護認定を受けていれば、自治体に「障害者控除対象者認定書」を発行してもらえる可能性が高く、その場合、障害者控除という所得税の所得控除(障害者27万円、特別障害者40万円、同居している特別障害者であれば75万円の所得控除)及び相続税の税額控除((85年-相続人の年齢)×10万円(特別障害者のの場合20万円))の適用することができる。
・要介護1~3で障害者、要介護4~5で特別障害者と認定されることが多いが、認定は個人の状況により異なる。

<詳細>
(所得税の障害者控除)
所得税の障害者控除(障害者27万円、特別障害者40万円、同居している特別障害者であれば75万円の所得控除)は、通常、障害者手帳によって適用するが、要介護となっているお年寄りの場合、障害者手帳がなくても、自治体から障害者控除対象者認定書を発行してもらうことで、障害者控除の適用を受けることができる。
浜松市の場合、区役所の長寿保険課の窓口にて、ご家族の方が発行手続きを行う。持ち物は、(1)認印、(2)介護保険証(番号が必要となる)。手数料はかからない。1週間~2週間程で、郵送にて障害者もしくは特別障害者に該当する旨の障害者控除対象者認定書が届くので、これをもって、障害者控除の適用を受ける。この手続きは、毎年必要で、29年分の申告に使用する障害者控除対象者認定書は、平成29年分と記載のあるものに限る。過去5年分まで発行してもらうことができ、例えば29年分については、29年の年末頃から発行してもらうことができるとのこと。
概ね、要介護1~3で障害者、要介護4~5で特別障害者となる。要支援の場合は、例えば要支援2以上に対象としている自治体がある。しかし、これらはあくまで目安であって、個人の状況により判定は異なるので、認定証の発行をしてみないことには分からない。

(相続税の障害者控除)
上記の障害者控除対象者認定書による障害者控除の適用は、相続税の障害者控除においても適用可能である。
相続税の障害者控除を定めた相続税法施行令4の4の規定が、所得税法施行令を引用しているため、同様の取扱いとなっている。

<番外編>オフィスでルンバを使うための対策

<概要>
LANケーブルや電源ケーブルのあるオフィスの床でも、空き箱を利用すれば、簡単にルンバを使うことができる。

 

<詳細>
片田会計事務所では、ITやAIを活用した仕訳入力の効率化に取り組んでいるところですが、間接業務においてもITやAIを活用した業務の効率化に取り組んでいます。その一つとして、卑近な例ですが、床掃除を、アイロボット社のルンバやブラーバに任せることにしました。

これまでオフィスでは、LANケーブルや電源ケーブルを巻き込んでしまうことがルンバ使用の障害となっていましたが、写真のように空き箱に収納することで解決できることに気づきました。

配線をきれいに収納する方法は、床下収納、モール、ワイヤーネットなど他に優れた方法がありますが、簡単で安価にできる方法として紹介させていただきました。

個人事業の承継において、事業資産の簿価が少額であれば生前の事業承継の方が有利なことが多い。

<概要>

・個人事業の承継において、棚卸資産及び減価償却資産の簿価が少額であれば、生前の事業承継の方が消費税上、有利なことが多い。(2018年7月3日時点)
・ただし、本件について、消費税法の見直しが今後行われる可能性がある(2019年3月12日追記)。

<詳細>

①生前の事業承継の場合は、通常、棚卸資産及び減価償却資産の簿価で親から子に売買するので、当然に親において売買金額に消費税がかかる。売買処理を行わない場合でも下記の「みなし譲渡」※の規定によりこの消費税から逃れることはできない。

②相続による事業承継の場合は、相続により資産を引き継ぐことになるが、みなし譲渡の適用はないので、消費税の負担は生じない。

とすると②がお得のように思えるが、②相続による事業承継の場合、子は親の消費税の納税義務を引継いでしまい、初年度から消費税の納税義務者となってしまう。一方、①生前の事業承継の場合は、消費税の納税義務は引き継がないので、最長2年間免税となることができることから、棚卸資産及び減価償却資産の簿価が相対的に少額であれば(当該資産の譲渡に係る消費税額が、免税期間に事業から生ずる消費税額より小さければ)、②より節税になるケースが多い。

※ みなし譲渡
消費税のみなし譲渡(国税庁HP)個人事業者の自家消費とは、個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業用に使用していたものを家事のために消費又は使用することをいいます。個人事業者が自家消費を行った場合は、その資産を消費又は使用した時のその資産の価額、すなわち時価に相当する金額を課税標準として消費税が課税されます。ただし、棚卸資産を自家消費した場合は、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。

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今後、消費税法改正の可能性あります(2019年3月12日追記)

2018年11月9日に公表された会計検査院の『平成29年度決算検査報告』では、本論点について次のように報告された。
「開廃業手続による事業の引継ぎを行って事業を開始した新経営者が(中略)、事業者免税点制度により免税事業者となっている現状は、(中略)事業者免税点制度の趣旨に沿ったものとはなっていないと思料される。ついては、本院の検査によって明らかになった状況を踏まえて、消費税に関わる幅広い議論が十分なされるよう、財務省において、事業者免税点制度等の在り方について、引き続き、様々な観点から有効性及び公平性を高めるよう検討を行っていくことが肝要である。」(前掲書904頁)
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/all/pdf/fy29_11_03.pdf

事業承継を積極的に促していく観点から本制度を維持すべきとの議論も考えられるが、税法は、会計検査院の報告後に改正議論が高まることがあり(本制度と同列に語られるべき制度ではないが、例えば、いわゆる「自動販売機スキーム」という消費税の還付処理は、『平成20年度決算検査報告』で報告された後、平成22年税制改正で事実上封じられた。)、本制度についても今後改正されていく可能性があることに留意したい。

 

相続税の申告が必要かどうか。

まずは相続税がかかるかどうかの確認を
亡くなった方の残した財産が、相続税の非課税枠を超えていたら、10ヶ月以内に相続税の申告書を作成し、税務署に提出しなければなりません。合わせて相続税の納付も必要となります。

(相続税の基本的な手順のポイント)
(1) 相続財産の評価
亡くなった方の残した財産について調べ、その財産が相続税の決まりに基づくといくらなのかを、財産ごとに計算しましょう。
(2) 相続税の計算
(1)の評価額の合計額が、相続税の非課税枠(基礎控除額)を超える場合には、相続税の申告と納税が必要です。税務署が、相続税がかかるかどうかを判断し、書類を送ってくれるわけではありません。まずは、自分自身で、相続税がかかるかどうか確認してみましょう。
(3) 申告書の作成・納税
相続税の申告書は、財産を相続した人全員が共同で提出するのが一般的です。税理士に依頼せずに自分で作成しても構いませんが、計算間違いや申告漏れがあると、税務調査を受け、加算税などのペナルティーを課されることになります。また、相続税には、課税価格の減額や税額控除など、税金が安くなる特例がいくつかあります。これらの特例を受けるには、色々な要件がありますので、注意が必要です。

税務署からの「相続についてのお尋ね」の意味とは?
人が死亡した場合、その情報は税務署にも入ります。税務署は、相続税の申告が必要であろうと判断した方に対して、「相続についてのお尋ね」が送られてきます。相続税の申告が必要なのか、不要なのかは、計算してみなければわかりません。それは税務署も同じですので、お尋ねをしてきます。もし、相続税の申告が不要であれば、このお尋ねに必要事項を記入して税務署に提出すれば終了です。

相続税の基礎控除額(非課税枠)とは?
相続税には、財産がこの金額以下なら相続税はかからないという非課税枠(基礎控除額)があります。財産が基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告や納税が必要となりますが、これに満たなければ、相続税に関する手続きは一切必要ありません。
基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。

生前贈与が相続税に影響することがある
相続税は亡くなる時に、贈与税は生きている間に、無償で財産を受け取るとかかる税金です。相続税法の中に「相続税」と「贈与税」が定められています。贈与税は、あくまで相続税を補うための税金なのです。
そのため、亡くなる時期に比較的近い3年以内の生前贈与については、相続税で計算し直すことになっています。年間110万円以内の贈与は贈与税がかかりませんので、相続税対策として行われますが、贈与を行った日から3年以内に相続が発生した場合には、贈与した財産にも相続税がかかってきますので、結果として相続税対策にはならなかったことになります。相続税対策は、早い時期から取り掛かる必要があります。
なお、3年以内の生前贈与は、相続税で計算し直すと書きましたが、これは相続人が受けた贈与に限ります。従いまして、相続人でないお孫さん等への贈与は、相続開始前3年以内の贈与であっても相続税には影響を与えません。

サラリーマン等が不動産を売却した場合に所得税の確定申告が必要か否か?

(概要)
・売却による利益が20万円以下であれば、申告不要
・申告不要の場合にも、後日、税務署から「譲渡内容のお尋ね」が届くことがあるが、必要事項を記入して返信すれば足りる。

(詳細)
売却による利益が20万円以下であれば、申告不要
通常は、確定申告に縁のないサラリーマンや年金受給者が不動産を売却した場合、どのような場合に申告が必要なのでしょうか?
売却による利益が20万円以下であれば、申告は不要です。
では利益はどうやって計算するのでしょうか?
売買金額-(取得価額+譲渡費用)=利益

取得価額・・・
土地を買った時の金額
建物を買ったときの金額から時の経過による償却分を控除した金額(年々、減少します)
上記の金額が不明な場合(代々相続してきた土地など)は、売買金額の5%

譲渡費用・・・
仲介手数料など

要するに買った金額が分かっている不動産で明らかに損をしている場合は、申告の必要はありません。

また、居住用財産を譲渡した場合には、その利益から3000万円控除できる、要するに利益3000万円までは税金がかからないという制度がありますが、このような特例を適用する場合には必ず申告が必要です。申告の結果、税金を支払う必要はなくとも、申告する必要がありますのでお忘れなく。

税務署からの「お尋ね」の意味とは?
不動産を売却した場合、その登記情報は税務署にも入ります。税務署は、譲渡所得の申告が必要であろうと判断した方に対して、「譲渡内容についてのお尋ね」が送られてきます。譲渡所得の申告が必要なのか、不要なのかは、計算してみなければわかりません。それは税務署も同じですので、お尋ねをしてきます。もし、譲渡所得の申告が不要であれば、このお尋ねに必要事項を記入して税務署に提出すれば終了です。