浜松市」タグアーカイブ

非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例を受けるための担保提供フロー(株券不発行の場合)

非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例を受けるための担保提供の手続きは、時系列的に書籍や公表資料などでは明らかにされていないことが多い。簡単にまとめると次のとおり。迷う場合には所轄税務署の管理運営部門にご相談下さい。

前提
株券不発行会社
対象非上場株式の全部を提供

基本的なフロー
贈与税申告

・担保提供書(様式301) … 利子税や税額合計は本来所要の計算をすべきであるが、計算が複雑なため、国税局納税管理官や税務署の管理運営部門では空白にすることを推奨している模様。記載する場合でも、捨印を押印しておくことを推奨している模様(他様式も同様)。
・担保目録(様式302) … 「単価」や「価額」は、贈与時ではなく担保提供時点のものを記載すべきであるが、「みなす充足」の適用を受ける場合には空白にしておくことも容認されている模様。
・質権設定承諾書(様式306)
・受贈者個人の印鑑証明書
注1

贈与税の申告期限

税務署から担保設定についての通知(申告期限から正式な審査がスタートして、概ね1~2か月程度の模様)
↓(指定された期限内に)注2
・株主名簿記載事項証明書 … 質権者の名称、住所、質権の対象となる株式について記載する(会社法149条)
・法人代表者の印鑑証明書

注1 株券発行会社の場合には、質権の効力発生に株券の交付が必要となるため「速やかに担保関係書類を行う旨の確約書」(様式303)が求められるが、株券不発行会社の場合には、様式306(及び印鑑証明書)と税務署による意思表示をもって質権の効力発生するため、前述のような確約書の提出が不要になっていると思われる。ただし、質権の対抗要件を満たすためには、株主名簿への記載又は記録が必要であるため、その後、税務署が通知する期限内に株主名簿記載事項証明書が提出する。通知された期限内にこれができない場合には、担保関係書類の提出を行う旨の確約書(株券不発行会社用 様式307)が必要とされる(注2参照)。

注2 税務署から指定された期限に間に合わない場合には、次の書類で、提出できる期限を確約する。
担保関係書類の提出を行う旨の確約書(株券不発行会社用 様式307)

手続きの概要
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/qa/index_6.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/qa/qa_6/q09.htm

様式
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/yoshiki/02.htm

相続人が海外に居住している場合の相続税の電子申告

相続人が国内に住所を有していない場合には、税理士を納税管理人として選任し、相続税申告を行うのが一般的である。税理士が納税管理人である場合には、当該相続税申告を電子申告にて行うことができるが、税務署は次の方法を指導している模様。
・利用者識別番号には、納税管理人である税理士のものを用いる。
・申告書の氏名のフリガナ欄に「納税管理人××××(税理士名)」を記載する。
・申告書の氏名欄・住所欄には、相続人本人及びその海外の住所を記載する。

相続税対策を考えるための財産評価早見表(固定資産編)

事業承継や相続における相続税対策を検討する最初のステップは、対象となる財産の相続税評価額を知ることです。その中で特に重要となるのは、不動産をはじめとする固定資産です。もしこれらとその他の財産の相続税評価額の合計が、課税時点で基礎控除額以下となるのであれば、申告及び納税は不要となります。
そこで、専門家に相談する前に、下記の早見表をもとに、ざっくりご自身で算定してみましょう。なお、理解を容易とするために簡便的に記載しておりますので、実際の相続や対策にあたっては、顧問の税理士にご相談ください。

主な固定資産の相続税評価額早見表

土地
(注1)
建物・附属設備(注1、2) 構築物 車両・機械装置等
右記以外 賃借物件の内装設備
固定資産税評価額あり 固定資産税評価額なし
法人所有(株式評価における純資産価額計算時) 3年以内取得 簿価 簿価 簿価 簿価 簿価 簿価
上記以外 路線価等(注3) 固定資産税評価額 簿価
(注4)
0円
(注5)
簿価×70%
(注4)
簿価
(注4)
個人所有 路線価等(注3) 固定資産税評価額 簿価
(注4)
0円
(注5)
簿価×70%
(注4)
簿価
(注4)

注1 取引相場のある不動産所有権付リゾート会員権については、法人における3年以内取得は簿価で、それ以外においては取引価格の70%相当額にて評価します。国税庁 質疑応答事例 参照
注2 建物が借地上に存する場合には、別途借地権の評価が必要です。詳細は割愛いたします。
注3 詳細は割愛いたします。現況により変動しますが、課税時点の取引価格の7割程度となることが多いです。
注4 本来は、再取得価額が基礎となりますが、実務上、簡便的に簿価を採用できる場合には簿価を基礎とします。
注5 原状回復義務があり一切の補償が行われない場合など、有益費償還請求権や造作買取請求権を放棄しているとみられる場合には、評価から除外できるものと考えられます。国税不服審判所 裁決事例集 No.39 – 380頁  (リンク先上から4つ目の事例です)

法人成りは「節税」になるのか。

(概要)
・一定以上の事業所得がない場合には、法人成りにより、税金及び社会保険料の負担合計額は増加します。

(詳細)
・所得税や法人税などの税金は、法人成りにより負担を抑えられる傾向にありますが、他方で、社会保険料の負担が増加する傾向にあります。この両方の負担を考えた場合、一定以上の事業所得がない場合には、法人成りにより、税金及び社会保険料の負担合計額は増加します。例えば、稼いだ利益をすべて役員報酬と法定福利費で支出する場合を仮定した場合、事業主が実質的に負担する所得税や法人税などの税金及び厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料は、次のような推移となり、その合計額は、事業所得が10百万円以下の範囲では、法人成り前より増加します。

・もちろん、社会保険料計算の対象とする報酬には上限があるし、所得税率は累進税率であることから、事業所得が一定額を超えた場合には、法人成りが有利になる可能性があります。また、法人化した場合、現役引退時に役員退職慰労金として支出すれば、(1)社会保険料が課されない、(2)一定の範囲内で法人の損金となる、(3)個人の所得計算上も有利になるなどの理由により、法人成りが有利になる範囲は広げられます。ただし、役員退職慰労金として支払うまで全額の課税を繰り延べた例を考えても、個人事業より有利になる所得水準は、相応に高いものとなります(下図の例では、約15百万円)。

・加えていうと、課税の全額を繰り延べることは極端な事例であり、実際には限定的になされると思いますので、その場合には、前述の水準はさらに上がります。逆に、厚生年金に加入できない70歳以上の方が法人成りをする場合や多額のいわゆる「社会保険料対策」を行う場合にはその水準は下がります。
・本投稿においては、例えば年金受給額の影響を無視するなど、さまざまな仮定を明示せずにおいていますので、実際の判断にあたっては、顧問の税理士にご相談をお願いします。

納税作業を効率化したい法人のために

<概要>
・2019年10月より、地方税の「ダイレクト納付」という全国共通の口座振替制度が始まったことにより、国税・地方税ともに銀行窓口に出向くことなく、納税が可能となりました。

<詳細>
ダイレクト納付とは、電子申告(国税はe-Tax、地方税はel-tax)により申告書等を提出した後、納税者ご自身名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、国税あるいは地方税を口座引落しにより納付する手続のことをいいます。具体的には、金融機関の口座を記載し銀行印を押印した所定の用紙を、所定の機関(国税の場合税務署、地方税の場合指定金融機関)に提出しておけば、税理士側で振替納税の手続きが行えます。
もし、現在、納付書を税理士に書いてもらって、金融機関で納付していたとしたら、こうした紙での受け渡しや、金融機関窓口に並ぶ手間(さらに、多数の自治体に跨って事業所がある場合には複数の金融機関に行く必要がある手間)が省け、毎月の源泉税・特別徴収税額や申告時の法人税や消費税等の納付に大活躍します。

参考リンク
●共通
日本マルチペイメントネットワーク運営機構 「ダイレクト納付」の仕組みを記したチラシ
https://www.pay-easy.jp/news/DC.pdf

●国税
国税庁 ダイレクト納付の手続
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/index.htm

●地方税
地方税共同機構
「ダイレクト納付」の申込方法については、PCdesk(WEB版)ガイドの「納税の手続を行う」の章を参照するのがわかりやすい。
https://www.eltax.lta.go.jp/support/document/
PCdesk(WEB版)は次のサイトにアクセスする。
https://www.portal.eltax.lta.go.jp/apa/web/webindexb#eLTAX

編集履歴
2019年9月27日 地方税のダイレクト納付が開始されたことに伴い、記事を変更

 

給与支払いがない場合の源泉税の納付方法

(概要)
・給与支払がない場合には、税務署より源泉税の納付書が自動的に送られてこない。(2019年6月6日現在)
・それでも、士業報酬等にかかる源泉税の納税は必要であり、この場合の納税方法としては、電子申告及びダイレクト納付登録を税理士に委任するのが便利。
・どうしても納付書により納税したい場合には、税務署に連絡し納付書を複数部取り寄せておき、必要に応じて歳入年度を訂正して用いればよい。
・なお、納付書を取り寄せる方法としては、電話(納税者自身に送付する場合)や郵送で取り寄せる方法もあるが、源泉税の納期特例申請提出時に、給与支払事務所等にかかる開設届出書も作成・提出し、その中の「その他参考事項」に「給与支払はないが士業報酬支払があるため、納付書を〇部送付してほしい」旨記載しておく実務も考えられる。

(詳細)
<給与支払がない場合には、税務署より源泉税の納付書が自動的に送られてこない>
法人であっても、次のような場合には、給与支払いがないことがある。
・親会社等が存在しており、全員出向者で構成されている法人
・役員の個人資産に余裕があり社会保険料を支払ってまで役員報酬を必要としない、あるいは、設立直後で財源がないなどの理由で、役員報酬や従業員給与を支出していない法人
個人の場合には、給与支払いがない場合には、士業報酬等にかかる源泉所得税の源泉義務はない。しかし、法人の場合には、給与支払いがなくとも、士業報酬等にかかる源泉所得税の源泉義務がある。こうした中、税務署の事務では、前年に給与支払にかかる源泉税が申告されていない場合、納付書の送付は行われず(2019年6月6日現在)、また、納税者や整理番号の入っていない源泉税の納付書を税理士には発行してくれないため、給与支払いのない法人の源泉税の納付方法が問題となる。

<給与支払がない場合には、士業報酬等にかかる源泉税は、電子申告及びダイレクト納付が便利>
この場合の納付書の入手は、後述のように面倒であることから、ダイレクト納付の手続きを済ませ、税理士に電子申告及びダイレクト納付を委任することが効率的だと考えられる。

<どうしても納付書により納税したい場合には、税務署に連絡し納付書を複数部取り寄せる。>
ただ、どうしても納付書により納税したい場合には、税務署に連絡し納付書を複数部取り寄せておく。このとき、将来の納入分については、歳入年度が空白のものをもらえばよいが、税務署は、歳入年度が空白の納付書は交付してくれない(2019年6月6日現在)。よって、歳入年度が異なる場合には、必要に応じて歳入年度を訂正して用いる。

<源泉税の納期特例申請提出時に、給与支払事務所等にかかる開設届出書を提出して、納付書を取り寄せるという方法もある。>
なお、納付書を取り寄せる方法としては、電話(納税者自身に送付する場合)や郵送で取り寄せる方法もあるが、上記のような法人で本人もしくは税理士が必ず提出するであろう、源泉税の納期特例申請提出時に、給与支払事務所等にかかる開設届出書も作成・提出し、その中の「その他参考事項」に「給与支払はないが士業報酬支払があるため、納付書を〇部送付してほしい」旨記載しておく実務も考えられる。このような場合に、同届出書の提出義務は所得税法上ない(注)が、税務署実務ではその提出を受理している模様である。なお、複数部の納付書を取り寄せておくのは、前述の記載をしても、毎年自動的に送付されるわけではないためである。

注 所得税法第二百三十条ほかの定めをみるに、給与支払がない場合には、源泉が必要な報酬があったとしても、給与支払事務所等の開設届出書の提出義務はないものと考えられる。

所得税法
(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)
第二百三十条 国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、又はこれらを移転し若しくは廃止した者は、その事実につき前条の届出書を提出すべき場合を除き、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

所得税法施行規則
(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)
第九十九条 国内において法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この条において「給与等」という。)の支払事務を取り扱う事務所、事業所その他これらに準ずるもの(以下この条において「給与支払事務所等」という。)を設け、又はこれを移転し、若しくは廃止した者は、その事実につき前条の届出書を提出すべき場合を除き、法第二百三十条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)の規定により、次に掲げる事項を記載した届出書を、その給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長(給与支払事務所等を移転する場合には、その移転前の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長)に提出しなければならない。
一 その届出書を提出する者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び個人番号又は法人番号(個人番号及び法人番号を有しない者にあつては、氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)
二 給与支払事務所等を設け、又はこれを移転し、若しくは廃止した旨及びその年月日
三 給与支払事務所等の所在地(給与支払事務所等を移転する場合には、その移転前の給与支払事務所等の所在地及びその移転後の給与支払事務所等の所在地)
四 その届出書を提出する日の現況におけるその給与支払事務所等において給与等の支払を受ける者の職種等の別の人員数
五 その他参考となるべき事項

所得税法
(給与所得)
第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

 

弥生会計で補助科目の前期比較残高を印刷する方法

(概要)
「残高試算表」前期比較の印刷画面における「印刷帳票」を「前期比較補助残高一覧表(月次・期間)」に変更することで、印刷することができる。

(詳細)
・弥生会計では、「補助残高一覧表」画面では前期比較を表示できない(2019年6月10日現在)ことから、補助科目残高の前期比較ができないように思える。
しかし、次のように残高試算表の印刷画面の設定を少し触ることで、前期比較補助残高一覧表を印刷することができる。

・弥生会計で補助科目残高の前期比較を印刷する方法は、次のとおり。
1) 集計>残高一覧表>月次・期間 にて「残高試算表(月次・期間)」を表示させる。
2) ☑「補助科目を表示」にチェック、☑「前期比較表示」にチェック
3) 残高試算表 画面右上の「印刷」をクリック
4) 印刷画面の「印刷帳票」にて、「前期比較残高一覧表(月次・期間)」を「前期比較補助残高一覧表(月次・期間)」に変更する。
5) 印刷画面の「印刷する勘定科目」にて、「選択」をチェックし、印刷させたい勘定科目を選ぶ。
6) 印刷画面のOKを選択し、印刷を実行。

(2019年6月10日現在、弥生会計19 ver.25.2.1)

配当所得を総合課税にすべきか

(概要)
・課税所得が小さい場合には、配当所得を総合課税にすることにより、源泉されたときの税率より低い税率が適用できたり配当控除を適用することによって、分離課税より有利になる傾向がある。
・どちらか有利かは簡単には判定できないため、確定申告作成時には、証券会社等からの取引報告書を踏まえて、総合課税と分離課税それぞれの場合について所得税・住民税を試算・比較することをお薦めしたい。

(詳細)
● 前提
・扶養する配偶者がいると仮定。
・金融商品の運用は、上場株式の売買と配当受領のみを行っていると仮定。
・証券口座は、特定口座一つと仮定。
・配当所得にかかる申告方法(分離、総合)は、所得税と住民税とで同じ方法を採用すると仮定。
・譲渡損失が発生してこれを翌年度以降に繰り越す場合、分離課税を選択することにより、通算する配当額だけ損失繰越額が減少するが、翌年以降に譲渡益が発生するとは限らないため、この影響は無視する。

● 具体的な場合分け
・ 上場株式について配当を上回る譲渡損失が出ている場合、所得の金額にかかわりなく、譲渡損失の繰越を選択し、かつ、分離課税にする方が有利である。なぜならば、分離課税のままであれば譲渡損失と配当は通算され配当に対して実質的に税金は課されないが、総合課税にした場合には配当に対して所得税及び住民税が課されるためである。なお、総合課税時、配当控除という所得控除があるが、配当に対する合計税率(所得税+住民税)は、総合課税時の配当控除の合計税率(所得税+住民税)より常に高く、配当に対して税金が課されることに変わりがない。

・ 上場株式について譲渡損失が出ていない場合、配当所得やそれ以外の所得の金額、各種所得控除の金額によって、どちらが有利かが決まる。一般的には、合計所得が小さく配偶者控除への影響が乏しく、さらに、適用される所得税率が小さければ、総合課税が有利となる(下図)。

 

租税教室 教材例(2019年・名古屋国税局管内用・中学生向け)

弊事務所では、地元の租税教育推進協議会に協力し、地元の学校で行われる租税教室の講師を担当させていただくことがあります。租税教育については、優れた事例集や資料集が国税局のWEBサイトで公開されているところですが、提供形態がPDF形式のものが多く直接の活用が困難だと思われますので、パワーポイントで弊事務所版のレジュメを公開いたします。租税教育のため教室内で利用する場合には、講師の責任にて自由に加工して使っていただければと思います。

2019年度版租税教室資料例(名古屋国税局管内用 中学生向け)

特徴
・税を通して社会や国の在り方について考えることを重視した授業展開を想定しています。
・税金の集め方についての、生徒によるディスカッションを含めています。
・個人別の所得額や消費額に応じた税額を、生徒に考えてもらいます。
・担当講師が加工して使っていただけるように、パワーポイントにて提供しています。
・自己紹介を除き、講師が発言すべきことは、極力ノートに記載しています

前提
・名古屋国税局が作成した、次の教材の使用を前提としています(過年度の教材は国税局のサイトから削除されていることがあります。
中学生用「ハロー・タックス」(令和元年度版)
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/education/kyozai02/index.htm
・税理士が講師を務めることを前提に、自己紹介では税理士の職業紹介をしています。
・50分での授業展開になっています。

関根稔先生の相続セミナーに参加してきました。

(概要)
不動産の価値が下がり続ける時代には、借金をして収益性の低い賃貸物件を建てるよりも、余裕資金でご子息の自宅を建てた方が、意味ある相続税対策になる。

(詳細)
先日、弁護士の関根稔先生の相続セミナー(東海税理士会主催「相続事案の注意点」2018年11月20日)に静岡まで行ってきました。

相続のアドバイスにおいて、為になるお話、盛沢山でした。

中でも印象的だったのは、昨今、不動産の価値は下がり、事業は縮小傾向、そして90歳までの人生を考えたとき、やるべきは不動産投資などの相続税対策ではなく、資産のお片付けと豊かな老後を過ごすための準備だというお話。

というのも、少しの相続税のために莫大な借入金を可愛い子息に残してしまう例が多くなっているとのこと。すなわち、相続税の節税のために多額の借入金で賃貸不動産に投資して、借入金を返済できるほどの賃貸収益を得られることができず、値下がりを続けるその不動産をやむなく売却し、借入金だけが残ってしまうという最悪のケースが、たくさん出てきていると。

その代わりに提唱されていたのが、資産と借金を整理し、手許に残った余裕資金で、子息の自宅を建ててあげること。建物は建設した時点で、半分くらいの評価額になるし、90歳まで生きるとしたら、その時の建物の評価額は、減価償却して相当低くなるから、これだけで有効な相続税対策になるというわけです。さらに言えば、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を使って子息の名義にしなくても、自分名義で建てれば、それだけで相続税対策になる。不動産の価値が上がり続ける時代であれば、非課税制度を使って子息の名義にすることが有効だけれども、不動産の価値が下がり続ける時代には、自分名義で建ててあげればそれでよい。不動産の価値が下がり続ける時代には、有効で意味ある相続税対策方法ですね。

私の最近の相談でも、生前贈与等の対策を施せば、借入による不動産投資と同等以上の相続税対策が実現できることがわかった事例もありました。何を重視するかは、最後は、資産家の方々のご判断次第ですが、お気持ちに沿った対策をご選択できるように、相続税対策のシミュレーションのご依頼に際しては、必要に応じて代替案のご提案も行って参りたいと思います。


追記 セミナー後、「獣になれない私たち」(日本テレビ系列のドラマ)の5tap的なおしゃれなビアバーで飲んで、帰ってきました。