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過年度について修正申告や更正の請求がある場合の別表五(二)の書き方

(概要)
・別表五(二)に記載する未納税額は、国税に提出した修正申告や更正の請求の内容に連動させる。
・別表五(二)に記載する納税充当金は、企業会計上の勘定科目(未払法人税等、未払事業税)に連動させる。

(詳細)
日本の企業会計では、平成21年12月4日に「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)と同適用指針(企業会計基準適用指針第24号)が公表されました。 この結果、平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後、会計方針や表示方法の変更、過去の誤謬の訂正があった場合には、あたかも新たな会計方針や表示方法等を過去の財務諸表にさかのぼって適用していたかのように会計処理又は表示の変更等を行うこととなりました。では、このとき、過年度の税務申告について、修正申告や更正の請求を行う場合、税務申告書の記載はどのように行ったらいいのでしょうか。別表四及び別表五(一)の記載については、言及している書籍やサイトも多いので、以下では、別表五(二)について私見を述べていきます。判断に迷う場合には、所轄の税務署に相談していただければと思います。

別表五(二)の記載の基本的な考え方について

・別表五(二)に記載する未納税額は、国税に提出した修正申告や更正の請求の内容に連動させる。

・納税充当金は、税務申告上の未納税額ではなく、企業会計上の未払税金(「未払法人税等」「未払事業税等」など)に係る勘定科目残高を反映させる。

・過年度について修正申告や更正の請求を行った場合に、企業会計上も遡及修正した場合には、「期首現在未納税額①」(事業税の場合は「当期発生額②」)及び「期首納税充当金㉛」を修正したうえで、「充当金取崩しによる納付③」を反映する。ただし、地方税のみの修正申告や更正の請求を行い国税について修正申告や更正の請求を伴わなかった場合、前述の取扱いのうち「期首現在未納税額①」の修正は、「当期発生額②」の修正と読み替える。

・過年度について修正申告や更正の請求を行った場合に、重要性に鑑み遡及修正せず当期の法人税等や事業税等として会計処理した場合には、「期首現在未納税額①」(事業税の場合は「当期発生額②」)を修正したうえで、「損金経理による納付⑤」に反映する。ただし、地方税のみの修正申告や更正の請求を行い国税について修正申告や更正の請求を伴わなかった場合、前述の取扱いのうち「期首現在未納税額①」の修正は、「当期発生額②」の修正と読み替える。

・以上の取扱いで、企業会計上の未収税金(「未収還付法人税等」など)に係る勘定科目残高の遡及修正が生じる場合には、別表五(一)における利益積立金の調整区分(「仮払税金」等)に反映する。

・事業税の修正申告を行った場合、修正申告を行った日の属する事業年度に損金算入することが原則であるが、修正申告の対象が前々期などの場合、修正申告対象年度の翌期に減算することもできる。この方法を採用する場合には、修正申告対象年度の翌事業年度に別表四で減算・留保したうえで、修正申告にかかる納税を行った事業年度に当該留保金額を別表四で加算・留保という調整を行うことになるが、別表別表五(二)の記載方法は、損金計上を行う事業年度において当期発生額②に記載するほか、上述の取扱いで変わりがない。

編集履歴 2018年10月26日 読者のご指摘を踏まえ、地方税のみ修正申告や更正の請求を行った場合の取扱いを追記しました。

節税にこだわり大事を忘れるな

<概要>
・節税と思っている取引も実は、スキーム全体で見れば単なる課税の繰り延べに過ぎないということがある。
・加えて、「節税」のための取引コストが実は節税額を上回っていた、あるいは、「節税」のための支出のために、必要な投資ができなくなる、借入返済ができなるという失敗例もある。
・節税の極意は、内部留保を増やしていくために税金をきっちりと納めていくことを基本にしたうえで、税額控除制度や免税制度、各種の税率差等を活用して、納税額を適度に低減していくことにある。

<詳細>
「小事に拘りて大事を忘るな」ということわざがある。目先の小事にこだわって肝心な大事を忘れてはならないという意味であるが、いわゆる「節税」についても同様の事が起こらないようにしたい。

「節税」と世の中でいわれている取引は、その効果に着目すると、次の2つに分けられると思う。
① スキーム全体での税額の低減(本当の意味の節税)
② 単なる課税の繰り延べ
節税と思っている取引も実は、スキーム全体で見れば、②のように単なる課税の繰り延べに過ぎないということがある。
たとえば、法人税において、今期儲かったからと、特別償却や生命保険を活用した一時的な損金の計上を行う場合があるが、これは将来的な損金の減少及び益金の増加を伴う。もし業績が今後も好調であれば、課税の繰り延べに過ぎない可能性が高い。
また、相続税についても、節税するスキームが、実は、その「節税額」以上に、法人税を増税させるスキームだけだったというものもある。
①の意味での節税を実現することは、税額控除制度や免税制度、各種の税率差を利用した節税以外、実は、なかなか難しい。

また、「節税」を行った場合のよくある失敗例として
③ 「節税」のための取引コストが、実は節税額より大きかった。
ということがある。
例えば、節税商品のパンフレットには、シミュレーションが記載されている場合が多いが、商品払込時の節税額は含まれているのに、配当や譲渡時(解約時)の課税額が計算されていないというものも存在する。これよって、「節税」のための取引コストが節税額より大きいということが隠されている。

さらに、厳しい失敗例としては、
④ 「節税」のための支出で、資金繰りが苦しくなる。
ということがある。
法人税や所得税の場合、事業から課税所得が得られている中で、損金性の商品を購入してその税金を払わないようにするためには、毎年、事業から得られる所得と同額以上の損金性の商品を購入しなければならなくなる。すると、事業から得られた儲けは、ほぼ、その商品の購入のための支出に回すことになる。そうすると、将来への投資あるいは、過去の借入の返済ができなくなる。すなわち、税金を払わないという発想の節税では、事業を継続できなくなる。内部留保を作っていくには、所得をプラスにして、所得に対する税金を支払う必要がある。

節税の極意は、内部留保を増やしていくために税金をきっちりと納めていくことを基本にしたうえで、税額控除制度や免税制度、各種の税率差等を活用して、納税額を適度に低減していくことにある。

納税のために銀行へ行くのが面倒な法人のために

<概要>
・源泉所得税については、国税の「ダイレクト納付」という口座振替制度が便利
・ただし、地方税が電子納税に対応していない地域(2018年1月20日現在、静岡県及び浜松市はこれに該当する)では、結局銀行に行かなければならないため、確定申告にかかる納税のために国税の「ダイレクト納付」を使うメリットはそれほどない。
・納税者の負担軽減と効率的な徴収事務のために、地方税についても電子納税の普及が望まれる。

<詳細>
ダイレクト納付とは、e-Taxにより申告書等を提出した後、納税者ご自身名義の預貯金口座から、即時又は指定した期日に、口座引落しにより国税を納付する手続のことをいいます。具体的には、税務署に指定の金融機関の口座を記載し、銀行印を押印した届出書を提出しておけば、税理士側で振替納税の手続きが行えます。
もし、現在、納付書を税理士に書いてもらって、これを受け取って、金融機関で納付していたとしたら、こうした紙での受け渡しや納税の手間が省け、毎月の源泉税の納付等に大活躍します。
ただし、法人税や消費税の確定申告、予定納税については、別途地方税の納税が必要となるため、あまりメリットがないとも言えます。また、予定納税時に紙の納付書が税務署より送付されることはダイクレト納付申込後も変わりありませんが、法人税、消費税ともに確定申告時に紙の納付書が送付されてこなくなるので、地方税に併せて紙の納付書で納税しようとする場合には、税務署に毎回納付書を依頼する必要があります。

なお、平成30年より届出の際に、ダイレクト納付の際に利用する預貯金口座を複数選択することができるようになり、ダイレクト納付の利便性は増していますが、ネット専業銀行等を指定できないなどの制約は今もあります(下記リンク参照)。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/annai/24100030/kinyu.htm

 

被合併法人の電子申告

(要約)
被合併法人の確定申告を電子申告するにあたっては、合併法人の利用者識別番号を用いるという実務が考えられる。

(詳細)
被合併法人の利用者識別番号は、合併の届け出を行うことによって廃止されるが、当該法人の最終の確定申告を電子申告するにあたっては、国税庁の正式なアナウンスメントはないが、税務署では、合併法人の利用者識別番号を用いることを指導している模様である。
また、申告書に記載する法人番号や、税務署番号・整理番号が記載された納付書についても、被合併法人ではなく合併法人のものを用いることが指導されている模様である。

 

経営における社会保険料認識の重要性

<要旨>

  1. 厚生年金保険等の加入指導は、平成27年度から、国税源泉徴収義務者情報に基づいて行われている。
  2. 日本年金機構は、「最終催告状を送付しても加入に応じない場合は、立入検査を行い認定による加入手続を実施する。 」としている。
  3. 認定による加入が行われた場合、過去2年に遡って社会保険料が徴収される可能性がある。
  4. 「従業員」がおらず、代表者のみに対して報酬を支払う会社であっても、適用事業所となる。
  5. 法人税等の法定実効税率が約21~34%であるのに対して、厚生年金保険と健康保険を合わせた社会保険料の料率は約30%と大きな差がなくなっており、タックスプランニングとともに、社会保険料認識の重要性が高まっている。
  6. 年間の報酬額は一緒であっても、報酬の支払方法によって、社会保険料が変わってくる。

<詳細>

日本年金機構は、平成27年度年度計画において、厚生年金保険・健康保険等の適用促進について、「平成27年度以降の3か年において優先的に職員による加入指導等に取り組む」としました。具体的には、調査手法では、これまで見られなかった手法が導入され、「国税源泉徴収義務者情報」すなわち、税務当局の持つ給与等支払者の情報に基づき、「文書勧奨」や「加入指導」を行うこととされました。

さらに、「加入指導を複数回実施しても加入の見込みがない事業所」に対する「立入検査」及び「認定による加入手続」は、平成27年度は「必要に応じて」実施するとしていたところ、平成28年度年度計画では、「最終催告状を送付しても加入に応じない場合」と明確化されました。

すなわち、日本年金機構は、最終催告状を送付しても加入に応じない場合には、職権により認定による加入手続(厚生年金保険法18条2項ほか)を行いますが、この場合、最大、2年間に遡って保険料等が徴収される可能性があります。これは、保険料等の徴収金の消滅時効が2年である(厚生年金保険法92条)ためです。

ところで、厚生年金保険の目的は、「労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上」(厚生年金保険法第1条)にありますが、「労働者」のいない役員(例えば、代表取締役)のみの会社であっても、厚生年金保険の適用はあるのでしょうか。この点、広島高裁岡山支部(昭38・9・23、高裁判例集 第16巻7号514頁)は、憲法25条(生存権)の趣旨を踏まえると、同法において労使間の差異を考慮する必要はなく、「厚生年金保険法第九条にいう事業所に使用される者とは、法人の代表者を含むものと解すべき」としました。すなわち、国民の生活の安定と福祉の向上のためであるから、代表者であっても、法人に使用される者から排除されないと判断したわけですね。こうした司法判断もあり、「法人の理事、監事、取締役、代表社員及び無限責任社員等法人の代表者又は業務執行者であって、他面その法人の事務の一部を担任し、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、被保険者」(厚生労働省昭24・7・28 保発第74号)となる運用が続いています。

以上の外部環境を踏まえると、従業員のいる会社の経営者のみならず、取引における信用力や各種税制上のメリットを踏まえて、法人成りを選択した、あるいは法人成りを選択する経営者にとって、社会保険料を認識する重要性は高まっているといえます。実際、法人所得に対する法定実効税率は、資本金1億円以下の会社で、21.42%(法人所得400万円以下の部分)から33.8%(法人所得800万円超の部分)であるのに対し、社会保険料は、報酬あるいは賞与に対して、29.872%(東京都、40歳~65歳、平成28年9月分、健康保険組合ない場合。報酬等を受ける方の負担分含む。雇用保険・労災保険除く。)と同程度です。例えば、株主でもある役員に対して、配当ではなく役員報酬を支払うことによる法人税等の減額効果と社会保険料の増額の程度は、同程度になっている可能性があるといえます。

では、法に基づき社会保険料を支払う中で、経営に与えるインパクトを緩和することは可能でしょうか。厚生年金や健康保険の保険料は、報酬月額あるいは賞与額に基づき定められた標準報酬月額あるいは標準賞与額に保険料率を乗じて算定され、税のように控除項目が定められていないことから、その余地はほとんどありません。ただし、標準報酬月額や標準賞与額には上限があることから、年間の報酬等の総額は同じであっても、支払方法によって、社会保険料が変わってくることがあります。また、現在の法令において、退職金(前払退職金等を除く)は、厚生年金保険法や健康保険法にいう「報酬」や「賞与」や含まれないと解されていることから、税務上の過大役員退職金の問題に留意しながら、報酬や賞与と、退職金とのバランスを見直すことにより、社会保険料を変えられることがあります。